喫煙の影響と禁煙効果




W 喫煙の影響と禁煙効果
大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室教授
雫石聰
はじめに
口腔はタバコが生体に影響を及ぼす最初の臓器である。
喫煙は吸い込む時と呼気としては きだす時に、そして、噛みタバコは使用中絶えず口腔粘膜に接触し、さらに、主に肺から吸 収されたタバコの含まれる有害物質は血液により口腔に運搬され二重に影響することとな る。
従って、タバコによる口腔に生ずる疾患や症状は多種多様であり、喫煙者の口腔内には ほとんど何らかの症状がみられるという。しかしながら、このようなことは国民の多くに周 知されておらず、保健医療関係者にも充分認知されているとはいえない。
一方、歯周病の予 防は8020達成のための最重要課題であり、そのためには、歯周病のリスクファクターを取り 除くことが一次予防として最も効果的と考えられる。
現在のところ、歯周病のリスクファク ターとしては喫煙をはじめとして、糖尿病、プラークと歯石および歯周病細菌などが挙げら れており、なかでも喫煙は歯周病の最大のリスクファクターのひとつであるといわれてい る。
ここでは、歯周病に及ぼす喫煙の影響と禁煙の効果について科学的エビデンスに基づき 概説することとする。

1.歯周病と喫煙についてのEBM
慢性疾患と原因との因果関係の評価については、1964年の米国公衆衛生総監報告書にある 5項目を基に、Hill1)が整理・拡大し、
@強固性、A特異性、
B一致性、
C量−反応関係、
D時間的関係、
E整合性、
F説明可能性、
G実験、
H類似性
の9項目が評価のガイドライン として広く受け入れられている。
歯周病と喫煙についても、この因果関係の評価基準に基づ き関連性が考察されているし2,3)、また、2004年の「喫煙と健康影響」に関する米国公衆衛生 総監報告書(SG Report)においても、膨大なデータを基に喫煙と歯周病との間に原因的な 因果関係があると明言されている4)。

このSG Report には、歯周病に対する喫煙のリスクの程度について、多くの症例対照研 究、横断研究やコホート研究で示されている。
喫煙と歯周病との関連性に関する過去の多く の研究では、歯周病の指標として、臨床アタッチメントレベル、歯周ポケットの深さ、歯槽 骨レベルなどが使用されており、また、その診断基準も多様である。
さらに、研究結果は集 団の年齢、性、人種などの構成により影響を受ける。従って、これらの研究で示される喫煙 の歯周病に対するリスクの強さを単純に比較はできないが、示されたオッズ比のほとんどは 2〜3以上であり、また、10以上を示すものもあり、強固性や一致性は充分に認められる。 SG Report にも取り挙げられたわれわれの研究でも、某企業メーカーの従業員を対象に歯周 診査とライフスタイルに関する質問票による調査を行った結果、CPI を歯周病有病の指標と したところ喫煙習慣や歯間清掃器具を使用しないことが歯周病のリスクとなることを明らか にした5)。
また、歯周ポケット有病歯率を指標とした別の調査(図1)でも、年齢、肥満度、 飲酒とともに喫煙が歯周病のリスクとなることが示され、歯周病が生活習慣病であることを 明らかにした6)。
さらに、種々のライフスタイル要因の歯周病に対するリスクを回帰木法で 解析した7() 図2)。この方法は、リスクが強いもの順に、また、リスクが強い群と弱い群と に自動的にグループ分けされて示される。
Pack−Year は生涯喫煙量をBMI は肥満度を示 しているが、有意の要因としては喫煙が最もリスクとして強く、次いで肥満度であり、種々 のライフスタイル要因のなかでは、喫煙が最も強いリスクファクターであることを明らかに した。また、喫煙のはじめの枝分かれのPack−Year が7.8という非常に少ない生涯喫煙量 でも歯周病に影響がみられた。

図1 生活習慣要因が歯周病に及ぼす影響
歯周病の指標:歯周ポケット深さ(Nishida et al.,20046))
図2 回帰木解析による歯周病に対する
ライフスタイル要因のリスク(Nishida et al.,20057))

喫煙と他の要因との比較では、Grossi ら8)は、アタッチメントレベルを指標として調べた ところ、歯周病細菌であるPorphyromonas gingivalis やTannerella forsythensis のオッズ比は それぞれ1.59と2.45であり、糖尿病のオッズ比は2.32であったのに対して、ヘビースモーカー のオッズ比は4.75であり、ヘビースモーカーは歯周病細菌や糖尿病よりもリスクが強いこと を示した。
量−反応関係については、われわれの研究では、図3に示すように、生涯喫煙量 と歯周病との間に量−反応関係を認め、特にPack−Year が30以上ではオッズ比が5.27で あった7)。
喫煙による量−反応関係はNHANES Vのデータでも解析されており9)、1日9本 以下のライトスモーカーでも有意のリスクが認められ、飲酒のリスクのように少量ではか えってリスクが低くなるJ 字状ではなく、喫煙量を減らしても歯周病のリスクは低下するが ゼロにはならないのが特徴である。
関連の特異性については、後で述べるように、元喫煙者では現在喫煙者よりも歯周病のリ スクが低下、または、非喫煙者と同じレベルになることからも関連を認めることができる。 また、歯周病に罹患している者のなかで、何%の者が喫煙が原因で歯周病になっているのか を示す指標として集団寄与危険度が用いられる。
NHANES Vのデータを用いて、歯周病有

図3 喫煙量と歯周病との関連性
歯周病の指標:歯周ポケット深さ(Nishida et al.,20057))
図4 歯周病進行に対する喫煙の集団寄与リスク
歯周病進行:4年間に歯周ポケット深さが3mm 以上進行した部位を2ヶ所以上
(木林ら,200410))

病者の42%(640万人)が現在吸っている喫煙で、11%(166万人)が以前に吸っていた喫煙 が原因で歯周病に罹患したと推定される9)。このことは、喫煙習慣がなければ、アメリカ国 民の中等度以上の歯周炎の約50%が予防できたことを示している。
われわれもまた、4年間 のコホート研究により、Pack−Year が15を越える生涯喫煙量の集団寄与リスクが約37%で あることを示した10() 図4)。
関連の時間的関係については、縦断研究やコホート研究によって、歯周病と喫煙との関連 性が示されている。われわれの4年間のコホート研究でも喫煙者(Pack−Year が15を越え る者)のオッズ比は3.3であり、BMI や飲酒習慣など他の要因を調整しても独立した関連性 を有することを示した10() 図5)。
また、歯周病有病者を10年間継続して観察した研究では、 非喫煙者や元喫煙者では、歯周病部位数や歯槽骨の吸収はほとんど変化しなかったのに対し て、喫煙者では疾患部位数が増加し、歯槽骨のレベルが低下したことが示されている11)。
一方、受動喫煙による歯周病のリスクに関する研究はあまり多くない。NHANES Vのデー タを基に解析した結果では、受動喫煙の歯周病のリスクは1.6(95%CI,1.2−2.2)であっ た12)。しかし、この研究では受動喫煙が質問票に基づき判定されていた。われわれは、唾液 コチニン量に基づき受動喫煙を規定したところ、受動喫煙のオッズ比は3.3(95%CI,1.0 −10.5)であり、他の種々のライフスタイル要因で調整しても、受動喫煙が歯周病の有意の リスクとなることを示した13() 図6)。
また、最近、わが国でも紙巻きタバコだけではなく、噛みタバコが広まるきざしがみえる。 特に、ガムタバコは、受動喫煙の防止のため公共での喫煙場所が大幅に制限されるなか、そ の販売がすすめられようとしている。噛みタバコは、唇や頬と歯肉との間に入れて噛んで用 いるため、局所的な有害作用が強く、口腔癌と強い関連性をもつことはよく知られている。
また、噛みタバコは歯周病にも影響を及ぼし、特に、使用する部位の歯肉退縮やアタッチメ ントロスを引き起こす14)。
噛みタバコに含まれるアレコリンとニコチンは歯根膜線維芽細胞

図5 歯周病進行とライフスタイルとの関連性
歯周病進行:4年間に歯周ポケット深さが3mm 以上進行した部位を2ヶ所以上
(木林ら,200410))

に対して相乗的に細胞毒性を示すことが知られており、このような効果が歯周病に悪影響を 及ぼしていると考えられる15)。

2.喫煙による歯周病進行のメカニズム
喫煙が歯周病の進行に及ぼすメカニズムについては、表1に示すように、
@細菌の感染・ 侵襲、
A宿主の免疫・炎症反応、
B結合組織と骨の代謝、
C遺伝子多型による影響
などの面から、in vitro やin vivo の研究により、関連の整合性が示され、また、説明が可能なデー タが明らかにされている。
そして、喫煙が歯周病に悪影響を与えるメカニズムは、感染症、 循環器疾患や呼吸器疾患に及ぼす喫煙のメカニズムと類似している点も示されている16)。
歯周病細菌の感染・侵襲については、喫煙量とT. forsythensisとの間に量依存的な関連が みられることや、現在喫煙者では元または非喫煙者よりもActinobacillus actinomycetemcomitans が多く検出されることが報告されている。
また、喫煙者からは、非喫煙者に比べてBANA 分解性歯周病細菌が検出される率が11倍も高いという。
特に歯周病細菌は<4mm や≦5 mm の浅い歯周ポケットで、また下顎よりも上顎で顕著であることが認められている。
さら に、歯周治療を行うと、非喫煙者では歯周病細菌が減少するが、喫煙者では、歯周病細菌が 依然として多く検出される。喫煙者の歯周ポケットには歯周病細菌が多く定着し、特に浅い 歯周ポケットに多くみられることから、喫煙者では初期の歯周病変がさらに進行すると考え られる。
また、歯周病細菌のもつLPS とニコチンを線維芽細胞に作用させると、細胞障害 性が増強されたり、サイトカインの産生が上昇する。
このことは、喫煙者では歯周病細菌の 病原性をより強く受けることを示している。
宿主の免疫・炎症反応に対しては、喫煙中の主にニコチンが作用する。喫煙者の好中球で は、貪食能や走化性が低下し、マクロファージによる抗原提示機能も抑制する。また、喫煙 によりT リンパ球に対する免疫抑制効果が強められたり、血清中のIgG 量の減少、歯周病

*統計的有意
図6 受動喫煙が歯周病に及ぼす影響
非喫煙、受動喫煙、能動喫煙は唾液コチニン量で規定した。
歯周病の指標:歯周ポケット深さ(Yamamoto et al.13))

細菌に特異的なIgG2や唾液IgA レベルの低下がみられる。
これら免疫系に及ぼす喫煙の影 響は、歯周組織での防御能力の低下を招いていると考えられ、細菌性肺炎への喫煙の影響と 類似した点がみられる。
喫煙によって、一般に末梢の血管の収縮や血流の低下が生ずることはよく知られている が、歯周組織でも同様の変化が起こっていると考えられる。
喫煙者は非喫煙者に比べて、歯 肉の酸素飽和度が慢性的に低下し、低酸素状態となっている。
しかし、歯肉炎症が強くなる と、喫煙者では炎症反応に適応できず、逆に非喫煙者よりも高くなる。また、喫煙者では、 歯周ポケットの深さに関係なく、非喫煙者よりも、歯周ポケット内の酸素分圧も低下するこ とが示され、このことが歯周病細菌の歯周ポケットでの定着・増殖を促進するかもしれな い。これら喫煙による歯周組織の低酸素状態の影響は、喫煙が低体重児出産を生ずる機序と 通じるところがある。
結合組織と骨代謝に対しては、歯周組織を構成する線維芽細胞は、喫煙中のニコチンなど の影響を受け、増殖能や付着能、コラーゲンの産生能などの機能が低下したり、細胞骨格が 障害されたりするといわれている。非喫煙者と喫煙者から歯周炎罹患歯を抜去し、それらに 付着する線維芽細胞数を比べると、喫煙者の方が非常に少ないことを示している。したがっ て、喫煙によるニコチンが根面に沈着することにより、歯周組織の再生・修復に障害を及ぼ していると考えられる。
また、遺伝子多型については、最近、サイトカインの1種であるIL−1の遺伝子型陽性 者17)や抗体レセプターであるFc?RIIa−H/H131の遺伝子型者18)では非喫煙者に比べて喫煙者 の方が歯周炎が進行しており、特に、IL−1陽性者では生涯喫煙量との間に用量−反応関係 が認められている(図7)。また、喫煙由来物質の代謝に関連するチトクロームP450 1A 1やグルタチオンS 転位酵素の遺伝子多型が歯周病のリスクと関連することが報告され た19)。
このことは、歯周病発症・進行に関連する遺伝子型をもつ喫煙者は特に歯周病のリス

表1 喫煙が歯周病を増悪するメカニズム

クが高くなるので、このような情報は、後で述べる禁煙誘導に有益である。

3.喫煙が歯周治療に及ぼす影響と禁煙の効果
喫煙者に種々の歯周治療を行うと、ある程度の改善はみられるが、短期的にも長期的にも、 非喫煙者と比べて、改善度や予後が悪いことが示されている。
口腔清掃指導、スケーリング やルートプレーニングなどの非外科的処置により、喫煙者は、非喫煙者よりも、歯周ポケッ トの深さの減少や臨床的アタッチメントレベルの獲得が少ない。
一方、Widman 改良法な ど外科的処置でも、喫煙者は非喫煙者に比べて、歯周ポケットの改善や臨床的アタッチメン

図7 歯周病と喫煙および遺伝子多型との関連性
図8 喫煙が歯周治療に及ぼす影響(Kaldahl et al.,199620))

ト獲得がいずれも少ないと報告されている。
図8は、基本治療、外科的処置とサポーティブ 歯周治療を行い、7年間長期的にモニターした研究である20)。いずれの期間でも、重度喫煙 者に最も改善がみられず、次に中等度喫煙者であった。
しかし、非喫煙者と元喫煙者の間に は差がなく、禁煙することにより、歯周治療に対する改善度が良くなることが認められる。
骨縁下ポケットのみられる歯周組織に組織誘導再生術を行ったケースでも、喫煙者では、根 面被覆度が低く膜露出度が大きいと報告されている。
さらに、インプラント処置でも、喫煙 者は非喫煙者に比べて、成功率が低く、合併症も多く、種々の不快症状が多くみられる。図 9の研究は、インプラントの成功率が、非喫煙者では喫煙者より7倍近く高いことを示して いる。そして、インプラント処置1週間前より8ヶ月後まで禁煙を続けることにより、その 成功率は非喫煙者のインプラント成功率とあまり変わらないくらい高くなる21)。
禁煙すると、週単位でかなり短期間のうちに歯肉血流量や歯肉溝滲出液量が非喫煙者のレ ベルまで上昇し回復することが示されている22)。
しかし、歯周病に対する喫煙のリスクを低 下させるにはもう少し年月が必要である。NHANES Vのデータ解析(図10)では、禁煙期 間が長くなるにしたがい、臨床アタッチメントレベルに対するリスクが低下し、0〜2年の 禁煙者のオッズ比が3.22であったのが、11年以上禁煙すると、そのオッズ比は1.15まで下が り、非喫煙者とほぼ同じレベルになると報告されている8)。
また、20〜49歳と50歳以上とに 分けてみると、集団寄与危険度は、20〜49歳では6年以上禁煙すると5%以下になるのに対 して、50歳以上では13年以上の禁煙でも約10%までしか低下しない23)。
このことは、若い年 齢のうちに禁煙を始め、禁煙期間が長いほど、歯周病や予防に効果的であるといえる。
以上 のように、喫煙者への歯周治療により、ある程度の改善はみられるが、非喫煙者に比べると 満足した結果を得るのは困難である。
そして、ある程度の期間禁煙することにより、歯周病 のリスクも低下し、歯周治療の効果も非喫煙者と変わらなくなる。したがって、歯周治療や インプラント治療を行う場合には、禁煙をする価値のあることを詳しく説明し、禁煙を奨め る必要がある。
一方、非外科的処置、組織誘導再生術やインプラント治療等を行う際には喫 煙者に対して、感染予防として抗生物質を局所または全身的に使用することが奨められてい る24)。

4.禁煙支援プログラム
健康日本21での歯周病予防の目標に、禁煙、節煙を希望する者に対する禁煙支援プログラ ムを全ての市町村で受けられるようにすることが挙げられている。
このことは、市町村など の行政にまかせておいてすむことではなく、歯科医療を担う者に期待されているところも大 きい。なぜならば、歯科診療所には、歯周病をもつ喫煙者が多く通院しており、歯周疾患指 導管理が日常的に行われており、医科よりも歯科の方がより禁煙指導を行う環境が整ってい るといえるからである。
しかしながら、歯科診療所でまだまだ日常的に禁煙指導が行われて いる訳ではない。それにはいくつかの理由が考えられる。ひとつの大きな理由として、日本 では、近いうちにタバコをやめようと思っている人が欧米に比べて少ないといわれてい る25)。
喫煙者が禁煙に至るステージには無関心期(禁煙することに関心がない)、
関心期 (禁煙することに関心があるが、1ヶ月以内に実行する気がない)、
準備期(1ヶ月以内に 禁煙しようと思っている)、
実行期(禁煙開始2週間以内)、
維持期(禁煙後1週間以内、1ヶ月、3ヶ月)に分けられ、 多くの人は短期的には禁煙に成功しても、何かをきっかけに喫 煙を再開し、このプロセスを何回か繰り返したのち、長期的に成功するといわれている(図 11)。
われわれの診療室で調べたところ、準備期の人は喫煙者の約20%ほどで、多くは無関 心期か関心期の人々である。禁煙支援は準備期の人を実行期や維持期に至るよう支援するも ので、禁煙プロセスの中心であるが、主として行動科学療法やニコチン代替療法などのカウ ンセリングを行うため、時間と費用が掛かる。したがって、対象になる患者さんも少なく、 しかも、忙しい診療の合間に禁煙支援の時間がなかなかとれないのが実情である。また、歯 科臨床において禁煙指導の効果に関する研究では(表2)、一般の臨床医の簡単なアドバイ スなどであると禁煙率は約8〜9%であるが26)、ニコチン代替療法を含めると10%以上に上 昇する26,27)。また、歯周病専門医のアドバイスは効果が高いという28)が、いずれも期待する ほど効果はあがらない。

最近、名古屋大学大学院医学系研究科の浜島信之先生が提唱されている禁煙誘導が注目さ れている29)。
禁煙誘導とは、無関心期や関心期の喫煙者を準備期に誘導する点に重点をおい た禁煙指導の方法のひとつである(図12)。
これは、禁煙支援とは異なり、短時間であまり 費用もかからず、そして、簡便で、多数の喫煙者が対象となる方法である。
禁煙の実行をサ ポートするのではなく、無関心期や関心期の喫煙者に対して、ビデオやパンフレットを見せ たりして、禁煙意欲を高めて禁煙行動を誘発させる方法である。
呼気中のCO 濃度や唾液中 のコチニンを測定し、喫煙の体への影響を示したり、タバコの影響を受けやすい遺伝子型や 歯周病が進行しやすい遺伝子型の喫煙者にその情報を知らせることなども禁煙誘導といえ る。
また、歯科ではタバコの口腔への悪影響について、診療中に患者さんに見せたり話した りする内容は沢山あるし、日常の診療の流れの中で、それらのことについて繰り返し話す機 会がある(表3)。われわれの禁煙外来で行った禁煙誘導の結果も(図13)、禁煙誘導前では、 無関心期15人、関心期5人、準備期が5人で、誘導後のそれらは、それぞれ、5人、2人、 0人であった。
関心期、準備期には、それぞれ1人づつが移動し、ステージ移動がみられた のは18人だった。
無関心期と関心期の20人のうち11人が、準備期の5人は全員が禁煙を実行 していた。このように歯科で行われる禁煙誘導は、大変効果的であることが明らかになっ た30)。

おわりに ここに示した多くの研究から分かるように、種々のバイアスがあることを考慮に入れて も、喫煙が歯周病のリスクファクターであることは明らかであり、またそのリスクを取り除 くことにより、歯周病の予防、歯周治療の効果の増強などが得られ、国民への有益性は非常 に大きい。
歯科では、保健指導のひとつとして口腔清掃指導がよく行われているが、動機づけや習慣 を変容するという点では共通点も多く、是非多くの歯科医や歯科衛生士の方々が禁煙誘導に 取り組まれることを奨めたいと思う。
参考文献










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