歯周病と生活習慣病との関連その1 目次 序文




歯周病と 生活習慣病の関係
財団法人8020推進財団
平成17年3月
目次
序…………………………………………………………………………………………1
鴨井久一 日本歯科大学名誉教授
T 歯周炎と動脈硬化・心臓病………………………………………………………2
石原和幸 東京歯科大学微生物学講座助教授
※医師の目からみた歯周疾患と心血管系疾患との関わり
岩井武尚東京医科歯科大学医学部付属病院血管外科教授
U 骨粗鬆症と歯周疾患の関連性について…………………………………………12
石川烈 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体硬組織再生学講座 歯周病学分野教授
※骨粗鬆症と口腔環境の関連性について
四宮謙一東京医科歯科大学大学院先端外科治療学講座整形外科学分野教授
V 肺炎について………………………………………………………………………29
鴨井久一 日本歯科大学名誉教授
※誤嚥性肺炎
金子猛横浜市立大学医学部大学院医学研究科病態免疫制御内科学講師
W 喫煙の影響と禁煙効果……………………………………………………………44
雫石聰 大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室教授
※歯科受診喫煙者に対する禁煙誘導
浜島信之名古屋大学大学院医学系研究科予防医学/医学推計・判断学教授
X 歯周病と糖尿病……………………………………………………………………58
西村英紀 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病態制御科学専攻病態機構学講座 歯周病態学分野助教授
Y 肥満や高脂血症と歯周病との関連………………………………………………67
齋藤俊行 九州大学大学院歯学研究院口腔保健推進学講師
清原裕 九州大学大学院医学研究院病態機能内科学講師
Z 歯周病と早期低体重児出産との関連……………………………………………82
和泉雄一 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科歯周病態制御学分野教授
※医科からみた、歯周病との関連 波多江正紀鹿児島市立病院産婦人科部長


生活習慣病と云う用語は、1996年(平成8年)に成人病を改称した疾患群を指し、従来の 加齢と云う要素に生活習慣を加えた名称である。
国民の健康づくりの概念は1970年(昭和 45年)に栄養・運動・休養を三位一体としたhealth care program が策定され、1978年(昭 和53年)に、高齢・長寿社会の到来に備えて、第一次国民健康づくり事業が市町村を対象と して施行された。
さらに1988年(平成元年)に、第二次国民健康づくり対策としてactive 80health plan が実施されてきた。
日本歯科医師会、厚生省(当時)は、1988年に8020運動を展開し、歯の保存・維持の重 要性を認知させ、生涯にわたって自分の歯で咬むことの意義を強調してきた。
また2000年 (平成12年)には、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が実施され、 2010 年を目途に現在進行中である。
その内容のなかで、加齢に伴う成人病、生活習慣がもたらす 生活習慣病、それらがオーバーラップしている問題を9つの分野に分類し、各々の取り組む 方向性や目標を設定している。
6番目に「歯の健康」が記載され、生活習慣の改善として、 間食として甘味食品・清涼飲料の頻回摂取の是正(小児期)、フッ化物配合歯磨剤使用の増 加(学齢期)、歯間部清掃用具の使用増加(成人期)などが挙げられている。
さらに2003年 に「健康増進法」が策定され、一次予防としての健診の必要性が強調されている。
このよう な背景のもとに、歯周病は生活習慣病として位置づけられ、歯周病細菌による感染症であり、 口腔清掃、喫煙、ストレスなど生活環境による環境因子や個体の持つ宿主の防御機能因子と も関連する相互作用による疾患と定義づけられている。
かつては「歯性病巣成染」という病 名でアメリカをはじめ多くの国で、保存できる歯を抜歯されてきたが、現在では、いかに歯 を保存するかが歯周組織の再生療法と共に大きな課題となってきている。
この数10年、歯周 治療も国民の間に定着され、口腔清掃の重要性は認識されてきているが、その関心の一つと して歯周医学(periodontal medicine)のエビデンスが報告されるようになった。

歯周医学とは「歯周病の予防や治療に科学的根拠をもって行うことと、 歯周病が全身へど のような関わりをもつか、例えば動脈硬化・心臓病、骨粗鬆症、肺炎、喫煙、糖尿病、肥満・ 高脂血症、低体重児・早産などとの関連、 さらにこのような全身疾患が歯周病にどのような 影響を与えているかを研究する分野」と定義されている。
歯周病細菌や炎症性サイトカイン の産生物が、血行を介して血管壁や気管支などに定着、組織を破壊し、全身組織を傷害する ことは口腔疾患にとどまらず全身の健康を損なう意味で大きな問題を提起している。
とくに 歯周病は日常生活の中で口腔清掃という自己管理が重要で、自己の生活習慣の変容で改善で きる点が、今後の全身の健康に結びつけられることを強調する。
歯周医学は、歯学と医学の 境界領域の解明に大切であり、両者の協力により、より一層のエビデンスが蓄積されていく ものと思われる。
執筆頂いた先生方は、各研究のトップレベルの方々にお願いし、現在まで の研究レベルを判り易くまとめて頂いたものである。
現状では、患者さんとの対話の中で、 また市民公開講演、研修会などで、多くの国民の皆様に、この事実を伝え、 歯周病は恐ろし い病気であるが自助努力で発症の進行を阻止し予防することができ、さらに口腔のみならず 全身の健康につながることを説明する責任が、われわれ歯科医師にとって急務な仕事と思わ れる。
日本歯科大学名誉教授鴨井久一










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