座談会2008年「歯科が危ない」




【座談会原稿・第2稿(平田)】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2008年『石川保険医新聞』新年号特別企画
座談会「歯科が危ない・・歯科医療危機の打開と展望を探る」
■日時  2007年10月20日(土)午後6時〜8時
■場所  石川県保険医協会会議室(太陽生命金沢ビル6階 076−222−5373)
■出席(敬称略)
     *矢間秀樹(輪島市・矢間デンタルクリニック院長)
     *山形克己(金沢市・歯科技工士)
     *斉藤典才(編集部/金沢市・城北病院外科)
     *平田米里(副会長/野々市町・平田歯科医院)
   司会*小島 登(理事/内灘町・小島歯科医院)
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【開催趣旨】
 今、メディアによって「医療崩壊」が連日のように報道されており、国民の中にも、かつてない危機感が生じ始めている。  今日の医療荒廃は、小泉内閣の構造改革によって一層深刻化し、公的保険の範囲縮小、 医療費の削減、患者負担増および受診抑制政策などにより、「いつでも、どこでも、誰でもが、必要な医療を受けられる」 という日本の優れた皆保険制度は、すでに空洞化し、「医療難民」が現実化している。
 社会保障制度は、日本国憲法第25条の理念を具体化したものであり、 国民にとっては社会保障としての医療を受ける権利と給付内容を規定するものが医療保険制度である。 この医療保険制度を支える医療従事者の待遇改善や設備更新に必要な経営原資となるのが、診療報酬である。 この診療報酬を安易に引き下げれば、医療は根幹から崩壊すること必至であり、医療を立て直す方法は、 まず診療報酬の引き上から始めなければならないことは自明の理である。
とりわけ、歯科における診療報酬は、経営の存続すらままならずに閉院に追い込まれるほど疲弊しており、 スタッフの低賃金、歯科技工士などの長時間労働はすでに限度を超えている。 その専門性に見合った対価を保障し得ていないばかりか、生活困難にさえ陥っている。
 この歯科における悪循環の打開は、他の分野にも通じ、いうなれば、国民すべての課題ともいえよう。  これまで、われわれ歯科医師、歯科スタッフ、 国民との間で、同じ課題であるにもかかわらず協調の取れた運動がなされていたとは言い難い。
 われわれ歯科関係者は、いまこそ、これらの困難に立ち向かい、国民と共に危機を打開し、展望を共有すべきであると確信する。
 この座談会によって、その運動の方法が少しでも探られれば幸いである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【本文】

【司会(小島)】「歯科が危ない・・歯科医療危機の打開と展望を探る」というタイトルで、座談会を始めたいと思います。  まず、自己紹介ですが、自分は内灘町で歯科を開業しています小島です。司会は不慣れですが、ご協力お願いいたします。
【矢間】輪島市で開業している矢間秀樹です。  卒業後、四年ほど長崎にいて、17年前に輪島に帰ってきました。よろしくお願いします。
【斉藤】私は城北病院で外科医をしています。医科でも、医師不足、勤務環境の悪化など多くの問題があり、 今日は医科の立場から発言させていただければと思っています。
【山形】山形克己と申します。歯科技工所を開設しています。今日は、 歯科医療従事者の一員としての立場、また経営者としての立場から、少し発言できればと思い参加させていただきました。 よろしくお願いします。
【平田】地政学的には能登の中心に位置するところで生まれました。
【司会】それでは、この座談会の趣旨説明を平田先生から。
【平田】 歯科の診療報酬は国民皆保険制度の発足当時から、不足分は差額徴収や自費で補いなさいという厚労省の指導もあって、 もともと低く設定されてきた経緯があります。 それが小泉政権の骨太方針による、毎年二千二百億円のマイナスシーリングが打ち出されて、悪化にますます拍車がかかった。 特に、厳しい改定があった平成十八年度では、総医療費が対前年比で一千二百億円減少したのですが、 そのうち、歯科だけで七百億円マイナスであったと発表されました。  国民医療費のわずか七・七%しか占めていない歯科界が全体の六割のマイナスを占めたということです。 いかに大きなダメージを負ったかが解ると思います。
 一方、医科においては、医療の地域格差とか地方病院における小児科とか産科の閉鎖とか、 または非常に過酷な勤務医の実態、また看護師の不足などがマスコミで取り上げられて社会問題化しています。  しかし、歯科の問題というのは、まったくと言っていいほどマスコミで取り上げられていません。 歯科医師過剰時代ですから、歯科医が足りないという国民の声がないのは当然としても、 経営の危機に由来する、歯科医療のさまざまな問題が派生していることが、 まったく話題にならないことに危機感を持っています。
実際に、歯科の困窮が医療の質に悪影響を与えていることを知っていただきたいと考えています。
この座談会では、あまりに無作為な歯科医療政策によって、いかに歯科医療が困窮しているのかを、 公表された資料に基づき、また、現場から声をあげる事で世に訴えると共に、 どうすれば歯科会員の経営を守り、良質の歯科医療を国民に提供できるかについて、何かの解決策、 またはヒントでも得られればと期待しています。
宜しくお願いいたします。
 【司会】それでは、まず矢間先生から。現場の困窮している実態などをお話しください。
【矢間】当院の来院患者数や売上げを調べてみましたところ、人数それほど変わっていませんが、 総保険点数は徐々に下がってきています。
具体的には、二〇〇〇年から二〇〇六年にかけて、1割弱の減少となっています。
収入が減少すると一番問題になるのは人件費ですね。良い治療を提供するために、 衛生士を雇い、患者さんにゆっくり時間をかけたいなどの意図はあるのですが、 それに対する対価が少ないので思うようにできません。 結局、従業員に申し訳ないが、ここ数年は昇給はなしでした。 開業当時は本当に毎年一万円ずつ昇給していったのですが・・・。
また、技工士さんが結婚し子供ができたのに、なかなか家族手当が支給できません。 また、女性の場合は結婚したら出産退職の心配があるし、長く居ればいたで退職金の心配もある。
スタッフの安定した雇用確保はなにかと大変になってきました。
【司会】そのうち子どもが大学に行くようになると、またお金がかかる。
【矢間】そう、そこがまた大変です。それに、いろいろな設備投資をしなければならないのに、 それに伴う収入が無いので大変です。金沢では、どうでしょうか。
【司会】金沢だと、患者さんの数は減っています。人口が二万人の所で、 僕が開業したときは二軒しかなかったのに、今は八軒になりました。
【矢間】輪島でも、私の後から、少なくとも5軒は開業をしたと思います。
【司会】厳しい現状は伝わってきますね。今度は、技工士さんからの声を少し聞いてみたいと思います。
【山形】歯科技工士に関しては、どうしても労働時間が長いということです。 この事前に配布されました冊子にもあるように、週七十六時間を超えていて、週五日とすれば十五時間以上の労働時間ですね。
今、私の技工所では妻と私のほかに、7人いて、土曜日は休むことになっていますが、歯科の先生方は土日休診ではないので、 どうしてもしわ寄せが来ます。九時から十五時間ということは夜の十二時ですが、実際には波があり、 深夜一時二時になることもあります。それでも出勤は必ず朝の九時です。従業員には本当に申しわけないなと常に思っています。
 それと待遇です。当初、私一人だったのですが、途中で何人か増やしたときには、 長時間の労働に対して、多少大目の報酬を与えることによって、自分が責めを逃れるという気持ちが働き、 開業してからの何年間はある種の放漫経営になりました。
そのときの借金が今もそのまま残っていますね。当然、矢間先生おっしゃったように、 家族手当などが十分に払えないのは同じです。 それと今の厳しい状況では優秀なスタッフが長続きしないし、 技工士になりたい若者が本当に少ないですね。
 三十年前、僕らの時代には、ある程度の志があった。 専門学校の入学試験でも、定員三十人に対して百人ぐらいの応募がありましたからね。 今はもう技工学校に入る子はどんどんどんどん減る一方です。
  去年ですか、福井県の技工士学校が廃校になりました。石川県も去年、入学者数が一桁になりましたね。
【矢間】数年前か、NHKで見たことありますね。歯科技工士の 寿命が短い。目に障害が起き易い。粉塵の中での作業では誰が見ても悪いイメージしか持ちませんよね。 【山形】3Kに入っていますね。職場の環境が非常に悪いので、健康に対しては非常に不安をみんな持っていますよね。 アスベストに関しても日、平気で触っていましたね。
日本技工士会が物故者の会報で名前を毎月出すのですが、五十歳代、六十歳代がほとんどですね。
【平田】加えて、労働環境が劣悪なのに、それに対する見返りがないですね。
【山形】十六年前の料金表をそのまま使っています。平成三年のときにつくった料金表をそのままです。 そこからさらに価格が下がっているのが実情です。
【矢間】われわれの診療報酬も下がっていますからね。だから逆に上げられるとこっちも困りますね。
【平田】確かに、歯科医も歯科技工士も困窮しています。 それでは国民に対し、どのようなアピールをしたらいいのでしょうか。
最近では、以前は考えられなかったような、技工物を外国に外注するよう事態になっていると聞いていますが。
【山形】私達のところに海外委託システムの案内などというダイレクトメールが来て、代理店に誘うわけです。
たいてい、台湾と中国の会社ですが、歯科医師の先生の裁量の中で、患者さんに、海外委託を説明することで、 合法だと主張しています。 今は、当初のようにはできなくなったようですが、抜け道があるみたいです。
【平田】その辺が、新自由主義、グローバル化の影響が現れたところでしょうか。
農作物でも、安いものが外国にあるならば輸入しなさい。日本の農家が困っても仕方がない。 生き残れる人だけ生き残りなさいという政府方針の矛先が、われわれ歯科にも来たと思っています。
農作物などは良いものを作る事で高く売れるが、歯科は診療報酬の制約があるから、どれだけ時間をかけ、 質を上げても価格には反映しない。困窮するのは当然です。
かといって、保険から自費にすれば、患者さんが認めないだろうし、その方向は保険医協会の立場とも違う。
保険診療の中である程度のレベルを確保し、それを国民に提供できる体制を確保していない限りは、 自費診療を前面に押し出すようなことをしても、平均的な国民からは容認されないと思う。
新自由主義を標榜するような経済学者の主張は、医療と工業、農業みたいなものを一緒にしている事が問題だということを、 国民に伝えないといけないのではないかと思うのですが。どうですか。
【斉藤】皆さん、映画の『シッコ』見られました?
 舞台は日本ではないんだけれども、アメリカが出て、次カナダになってイギリス、フランス、ドイツ、 最後キューバなんですが、アメリカ以外のほとんどの国は、医療は患者さんがお金を払っていません。
多少の違いはあっても、健康に関するものは国が責任を持つということなのです。
 医科も歯科も同じですが、医療というのは新自由主義の考えにそぐわない領域なので、 今の方針を改めて欲しいと、政治家、官僚に言いたいですね。
【平田】同感です。歯科界もきちんんと国民や国に主張するしかないと思います。
所で、斉藤先生、患者さんからは歯科のことはどう見えますか。 【斉藤】正しいかどうか分からないのですが、やっぱり医科というのは直接命にかかわってくるが、 歯科はそれほどではないと国民は思っているかもしれませんね。
 それに、道を歩いていると歯科医院さんって結構たくさんあるような気がします。 経営状況にしても、東洋経済とかの雑誌に出ていますが、一般の人はほとんど知らないと思います。 十分な認識が国民にはないと思いますね。
【司会】PRというかアピールをもっとすべきです。本当はこうなっていて、 この状況では先行投資もできなし、人材も集まらない。どんどん縮小傾向、悪循環に陥っていると。
【平田】これからは私の持論ですが、農業が困窮をきたしているほか、土木、建築、製造業でも中小企業が数多く倒産しているのに、 どうして歯医医院は例外で、救われなければならないなのか。 その根拠が弱いと感じます。
自分らが困っていると言うだけでは、国民が改善しましょうという方向に動かないと思う。
歯科が困った結果、どのような悪影響が国民に及んでいるのかをきちっとデータで言わない限りは 世論形成にはならないだろう思うのです。
そして、データを集めるシステムが、歯科界はほとんどないことが膠着を招いていると思っています。
【斉藤】それは世界との比較とかで言えないんでしょうか。国民の有病率とか、そういうのは何とか調べたら出せると思いますが。
【平田】歯科疾患実態調査は5,6年に一回しか実施されないし、 前回の改悪の後、一年半の経過では、まだデータらしいものがなく、 出てくるまで待っている間に、われわれは倒産してしまっています。
現実には、医療保険制度がやたら変更ばかりされて、一貫した方針がないので、 現場の診療システムに一貫性がもてなくて、現場は右往左往しています。
早く、責任ある機関が長期の視点に立って、こうあるべきだというビジョンを打ち出して、簡単に変更しないでほしい。
【斉藤】今、医科では本田宏先生という、埼玉県の済生会の勤務医で副院長なのですが、 十年ほど前から医師不足の運動を始められて、かなり毎週のように全国を飛び回って運動、講演をしている人がいるのですが、  来年度の医師、医学部定員が二百何十人増えるんです。 それで医師不足は解消されないんですけれども、彼の動きがかなり影響した結果だと思っています。
【平田】そういう人物が歯科界からも出てきて、長期のビジョンを打ち出してほしいね。
今のままでは、多くの歯科医院が潰れていくのをただ待っているだけですね。技工士さんも同じかな。
【山形】そうですね。一緒ですよ。
【平田】すると、今はまだいいが、山形さんの世代の人たちが退職すると、 必要とされるレベルの技工物を作れる人が少なくなって、ちょっと危ないかもしれませんね。
【山形】やばいですね。
【斉藤】それこそ外国でやれって。

【矢間】所で、歯学部っても人気ないのか、偏差値下がっていますよね。薬学部のほうが下手したら偏差値が高い。
【司会】下手したらやなくて、もう大分前からそうです。偏差値ばかりか、報酬も低下しています。
うちの息子は今年卒業してインターンみたいな研修医なのですが、収入は月に8万円です。
【斉藤】医科の場合は、二年の研修中は、いわゆる最低生活できるような保障といいますか、三十万円前後はあると思います。
医科は、卒後臨床研修制度が義務化されてたとき、給料の保証も国がすることになりました。
【平田】役人は、歯医者が子弟を私学の歯学部に入学させられるのだから、まだ余裕があると思っているらしいのですが。
【山形】確かにありますね。国もそうですけれども、国民の目も同じだと思います。
【平田】それが急に経営が悪化しつつあるからといっても国民はなかなか容認しないですよね。 でも、現在、または将来の危機は明らかですから、それに対処しなければならない。
その方向で保険医協会も動くつもりですが。
そして、歯科医は国民の健康を支える仕事であることを明らかにする必要があると思っています。 【斉藤】そうです。
【司会】今一番問題なのは、どんどん収入が減っていくことによって、心の余裕がなくなってきている。 だから患者を診るとき、経営の余裕があれば、いろいろできるのに、余裕がなくて、だんだんできない状況になると、 してあげたいという心もだんだんなくなっていくというのが一番歯科医師としては問題で、 その辺は危機と言っていいのではないかと思います。
【平田】それはいい視点だな。
 【斉藤】私は、やっぱり国民医療費を抑制しているのが一番の問題だと思います。
【司会】そうです。根本的にはそれがあまりにも抑え過ぎたということでしょうね。
【斉藤】やっぱり世界と比較しても、虫垂炎の手術なんか、日本だと七日入院の手術で三十万で、 アメリカでは一泊入院で二百万円ですかね。
だから日本の医療費って相当低く抑えられているんだと思いますね。
【山形】二百万円というのは個人が払うお金ですか。
【斉藤】個人が払えれば払いますが、多くは民間保険です。
日本の医療費が、世界と比較してどの位置にあるのかを国民に知らせる努力も必要だと思います。
【司会】現実を国民にまず知らせていかないと、歯科はこういうものだという固定したイメージが強過ぎたままだと、 改革に結びつきにくいと思います。

【司会】次に改善運動に関してのお話に進みたいと思いますが、ここは一番大切なところだと思います。
【平田】改善運動は、根底に国民が本当に困ったと言う現実があれば、意外に可能のではないかと多います。
医科では、前回の改定でリハビリにおける日数制限が突然出てきたのですが、 高名な学者が新聞投稿などで、「これでは、われわれリハビリを受けている者に死ねと言わんばかりだ」と訴えるなどして、 世論を味方に付け、ついには、厚生労働省が異例の撤回をしたという事実がありますね。
【斉藤】ええ、少しね。けれども、総枠を変えていないのでどこか減らされているんです。 今でもリハビリ続けたいけれどもできない人はいますよ。
【司会】前回の改定のときですが、歯科の先生は優し過ぎたと思う。 先回の歯周病の診療報酬改定のときに保険で認められなくなったからと、 みんなで歯周病治療を切れば良かったんだ。いいすぎかな?
【斉藤】リハビリの場合は、やっぱり大きかったのは患者団体だと思うんですよ。
潰瘍性大腸炎を難病疾患から除外しようという動きもあったが、それを患者団体が動いてリハビリと同じように撤回させましたね。
【平田】腎友会とかもすごい結束力ですね。
【司会】糖尿病の患者会のところへ行くと、「何で先生のところには、 歯周病の会とか、そういうものがないの」と不思議がられます。
【山形】患者会ってつくるものですか。
【斉藤】患者さんが自主的につくったものです。
【司会】総入れ歯の会とか、あってもいいような気もしますね。
【矢間】子どもの歯を守る会というのは、あるんじゃないですか。
【平田】子どもの歯を守る会というのは唯一の成功例ですね。
【斉藤】それが今歯科の唯一の患者団体ですか。
【平田】小さいものは知りませんが、大きなものでは一つだと思います。
【司会】ああいうものができる何か工夫を。
【矢間】そうですよね、患者さんの声を取り上げられる組織が必要です。
【司会】患者さんの声をくみ取れるものができれば一番いいんだろうけれどもね。
【斉藤】結局、皆さん歯を大切にという運動が必要だと思うのですが。

【平田】 医科のほうでは、新しい技術が盛んに導入されるというのは、 やっぱりそれなりに国民に期待される業界なんですよね。
【斉藤】そうですね。たとえば腹腔鏡もいろいろ広がっています。 新しいものを取り入れたときの診療報酬への導入は、歯科よりも認められていると思います。
【司会】歯科は、保険に入ったのは前装冠ぐらいで、それも、もう二十年前のことです。
【平田】となると、歯科は医療者としてもっと格調高く研鑽を積み、 必要なものは必要と患者さんと共に働きかけをしていかない限りは、 孤立状態で終わってしまう事になりそうですね。
やっぱり歯科界にもみんなが乗れるビジョンを打ち出すリーダーが出てきて欲しいな。
【司会】歯をきちんと治すと医療費が減るとか、きちんと歯を治したほうがやっぱり健康にもいいとか、 そういうデータを積極的に知らせる戦略は必要ですね。
【平田】まずそのデータをつくるための周到な準備をして、 日本中からデータを集めることが大切で、保団連ではいまそれを始めようとしています。
歯周病と糖尿病などの全身疾患との関係についてですが。
まだ本格的な大規模研究にまで発展はしていないけれども、いづれ、 データを基に厚労省や国民に訴えるという方向でやる事を検討しています。
【司会】ある程度とりやすい誤嚥性肺炎のデータとかは、全国で統一基準を作ってやるべきですね。
【平田】保団連という組織は十万人の会員をもち、それなりの予算もあるのだから、 自らが動いて実施する時期にあると常に言い続けています。
しかし実際は、全国の有志が個人の力で、個人の時間を割いるというのが今の現状です。
そのほうが制約がなくてスピーディーですけれども、やっぱり保団連として取り組むべきです。
それから石川県のような小さい協会でもできる研究もあるのですが、できたとしても保団連に議論する場がない。 それもつくって欲しいと要望しています。
【司会】何かあると、みんなして東京へ行くのかということになるから、 もうちょっとネットを利用するなどの工夫が必要と思いますが。
【平田】保団連から許可が下りないの困っています。使えれば、ネットによる迅速な交流ができるのにね。
【斉藤】それと、メディアを使って国民に知らせるという動き大切だと思いますね。
これからの時代はメディアを使うことが重要だと思うのですが、新聞記者などは医療に関しては素人ですから、 十分な情報を提供し、上手にメディアを使うことを考えるべきと思います。
テレビ金沢の人からお聞きした話では、医療の問題に関して関心があるが、忙し過ぎて取材できないともらしていました。 思いはあるわけですから・・・・。
【司会】メディアも大切な事は分かります。食育講演会などの取材はありますが、 思うような意見を書いてくれないですね。それとは別に行政のほうのアピールというのは難しいですかね。
【平田】予算とかそういうことになると、国会とか政権政党へということになるし、 診療報酬の改善になると厚労省、実際の運営については地方の社会保険事務局とか、分野別に考えて行動すべきと思います。
それをしなかった所為なのか、診療体系の改善ばかりでなく 診療報酬にしても三十年ほとんど変わらず、逆に低下している状況です。
同じ処置といっても、時代の要求と共にさまざまな、感染対策とかのを要求されるのにですよ。

【司会】では、そろそろ展望を語っていただければ。
【平田】事前に私の中では展望を話しているつもりでした。
要するに、保団連としてとやるべきこと、石川協会としてやるべきこと、 それからマスコミ対策、データを集めることとか、それから患者さんと協調行動をとるとか、 そういう方向でまとめるしかないでしょうね。
ただしそれには、国民を納得させるデータが集められるかどうかが一番のポイントじゃないかな。
【司会】それと、心にゆとりがある診療ができるようにしてほしいですね。
【平田】心の問題。
それから、歯科のが困窮は歯科業界だけにとどまらない事を言っておかないとね。 やっぱり国策としてきちっとすべきだと。国民にそれを訴えるべきだと思う。
【斉藤】多分その時に、財源の問題が論点になると思います。
国民医療費を上げるのはいいが、その負担はどうなるかに関して意見を統一しておいたほうがいいかなと思います。
【平田】しかし、財源をきちっと討論できるだけの情報公開を財務省や政府がしているかというと、非常に疑問だよね。
だって国家予算として計上するよう部門は一応情報公開されているけれども、特別会計については全然知らされていない。
役人も含めて誰も把握していないのに、そんな状態でこの国のお金をどう使うべきかの議論が成立するだろうか。
民主党にしても、財源の問題になるとやっぱり説得力ないよう感じる。
【斉藤】しかし、最近新聞で消費税を2030年だったかに、17%に上げる話が出ていますが、 消費税上げるのはよくないと思います。
今これだけ苦しんでいる人が多いのですから、大企業の法人税を上げるとか、公共事業の無駄を減らすとか、 防衛費を削減するとかで捻出し、医療や食など、人が生活する上で大事なものにはもっとお金をかける。 そういうことを主張すべきだと思うのですが。
【司会】そのような要求やアピールとは別に、自分自身は何をすべきかの身近な視点も必要と思う。
歯科医師自身の理念を患者さんに語ることも重要だと思っています。 身近な人に話して、それが広まっていくようにするのも一つの方法かなと。
さて、ここで、まとめを・・。

【平田】まとめ・・・は難しい。
読者は、歯科の困窮に関する事は十分理解できたと思いますが、 歯科の困窮が及ぼす国民に与える悪影響に関してはいまだデータ化できていないことを知り、どう思うか心配です。
打開策に関しては、何かこれはと思える具体案が出ることを期待したのですが、出たでしょうか?
 歯科部会としては、単なる愚痴に終わらせないつもりで、頑張ります。










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