竹田先生の講演会から




歯科・緊急講演会『後期高齢者医療と08年診療報酬改定に向けた動き』
07年8月19日(日)、都ホテル、9時30分から12時まで

講師、竹田正史保団連副会長(歯科・東京協会所属)
講師とは東京でお話する機会があった。
最近の歯科を取り巻く情勢悪化に話が及ぶにいたり、 この流れを食い止めるためには、一般歯科協会員に誰かが現状分析や問題点を指摘し、 何らかの改善運動に結びつける必要があるのではないかとの合意に至った。 この手の話では氏が保団連NO1の論客故に、緊急講演を依頼したところ快諾され、 今回の講演会の企画に至りました。氏の熱烈アピールを紹介することにします。

《講演の要旨》
これまでの歯科診療報酬における問題点の分析から始まった。
30年の長期に渡り新技術の導入がないこと。 20から30年にわたって技術料が低く抑えられてきたこと。
選定療法として、前歯の材料差額、金属床技術料差額、Cの管理の3項目が指定され、 これ以外はないと決着されたこと。新しく評価療養として07年に3項目導入されたが、 学会中心の療法で、一般会員には恩恵はないこと。 したがって、歯科の需給問題と重なって、歯科医院の経営収支は全国的に悲惨な状況となり、 来年の08年改定で更なる診療報酬の引き下げが行われると、 歯科医院経営は壊滅的打撃を受けることになる。
それは、歯科衛生士学校のや歯科技工士学校の閉校・削減ばかりでなく、 待遇の悪化などにより歯科医療の担い手がいなくなる恐れすらある。
これ以上の医療費抑制が進み、窓口負担が増加すれば、過小診療や質の低下を引き起こすし、 また混合診療が拡大するとお金のない人は継続して十分な治療を受けられなくなり、 アメリカなどで見られるように重症化を引き起こすことが危惧されると分析した。

休憩の後は、最近の審査指導に関する話題から再開された。
ローカルルールと全国ルールとの不一致。指導内容が次期改定への布石となっていること。
08年10月から、指導審査が地方厚生局に移管され、 ブロック単位に編成されることでどんな変化が生じるか注視する必要があると指摘された。
事前に注目度の高かった『総合ガイドライン』に関して、 表面上の目的は前回内容が10年以上経過して、 時代にそぐわなくなったことが理由とされているが、 真の狙いは医療費の抑制であることは言うまでもない。
ガイドライン内容の主なものは、
@う蝕、歯周病、欠損補綴などの治療を一口腔単位として、 『まとめて請け負う』方向を明確に強化すること。
A歯周病と補綴の平行治療の制限。歯周病においては、 歯周ポケット4ミリ以下は軽度の歯周病として早々に治療を打ち切り、 後のホローは保険給付の対象外とし、4ミリ以上の重症のもの( 大幅に対象者が減少する)に関してのみ保険給付を認め、 治療を進めてよいとする制度に変える案が練られているようだと推測された。 (これは非常に大きな影響を及ぼすことになると予想される。)

後期高齢者医療制度においても大きな変更が専門部会で検討されているそうだ。
『新義歯の作成を制限し、義歯の修理まで容認する』という単純なものでなく、 『在宅医療・(案)』に見られるように、内科医(総合医)の管理の下に、 歯科医は自らの裁量権を制限され、単に業務委託を受けることになるというものである。 しかも、単に治療から口腔ケアへの移行が推進されだけでなく、 『歯科衛生士は歯科医師の指導の下に訪問口腔ケアを行わなければならないとする』 現行法律を改定してしまえば、歯科版の訪問看護ステーションが誕生することも現実味を帯び、 歯科医師は居宅管理指導料も剥奪され、在宅診療からははじき出されるというものである。
ともかく、内容はあまりに大きく、深刻であった。

講演の最終には、富山協会の大田副会長も交え、参加者間の意見交換が熱く行われた。
歯科界は、歯科に対する国民アンケートの一位 『保険の効く範囲を広げてほしい!』に如何に応えるべきか、真剣に検討し、 実際に行動に移す必要があることに異論はないが、 歯科医院事態の経営基盤がしっかりしていなければ絵に描いた持ちになりかねない。
中医協のタイムスケジュールでは、9、10月に『骨子』が作成され、 内閣府が12月に医療費の『改定率』を指示し、政治的に決着してしまう。
後は、省が其の意向を踏まえて、1月に新制度に点数などの肉付けをする予定だそうで、 我々に残された時間は少ない。厚生労働省と内閣府に有効な働きかけをする必要がある。
悲惨な歯科界の現状を陳情するのもよし、署名運動をするのもよし、 ガイドラインに対して提言を出すのもよし、 とにかく全国の支部から運動を起こす必要があることで一応の結論を見た。
太田先生の、『先回の参議院選挙における成功体験』を拠り所にして、 我々の意見を国政に反映させるよう頑張ろうとの励ましが印象に残った。
最後に、東京歯科協が竹田先生を中心にイギリス、ドイツの歯科事情を視察し、 報告省を出版しています。
報告書を読むと、厚生労労働省はイギリスをお手本に制度改定を進めていることが垣間見えます。 小冊子『イギリス・ドイツから見えてきた 日本の歯科医療のこれから』 をご希望の方は協会までお申し込みください。
平田米里










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