<08年、今次歯科診療報酬改定についてのコメント>




<08年、今次歯科診療報酬改定についてのコメント>

歯科診療において、患者の全身状態を把握し、一口腔単位で診ることは通常である。しかし、今までの歯科診療報酬体系では、歯周病、う蝕、欠損などの各々に指導料が評価されるにとどまっていた。今回、一口腔単位に統合する「歯科疾患管理料」なるものが打ち出された。それにより煩雑だった患者提供文章が緩和されたほかは、特に臨床効果が高まるシステムに改善されたわけではない。単にしばりが指導料から管理料へと強化され、長期になればなるほど管理料が減額されてしまう内容となり、とても長期管理の推進とはなりがたいといえよう。たとえば、義歯の指導料、調整料は有床義歯管理料と変更になった。歯周病では、歯周病安定期治療が新設されたが、長期の管理を絶対条件とし、患者に予期せぬ事態が起きようとも、途中で中止する事を認めない新手のシステムが新設された。加えて、メンテナンスが保険診療から排除された事は患者にとっては不幸な事と言わざるを得ない。

一方、技術評価の見直しにより、点数が引き上げられた項目が20ほどあるが、ほんの数%の増加率に過ぎない。テンポラリークラウンなどの新設項目も、今まで医療機関が無償で負担してきたものだが、あまりに点数が低い。点数の復活した項目は、単に二年前の改定が誤りであったと認めることになったに過ぎない。二年ごとに方針がコロコロ変わり、臨床現場に混乱をもたらす現象が今回も多く発生した。

歯科界に待望久しい、新規導入については、保険外併用療法の先進技術から3項目採用された。歯周組織再生術、接着性ブリッジ、レーザー応用がそれである。しかしクリアすべき施設基準があるほか、高額の設備投資を必要とする割には極端に安い点数でしかない。 新規医療技術の保険導入に関しても、一般の臨床家の経営にはあまり有効とは思えない。

また、後期高齢者の在宅および社会福祉施設等における歯科医療を評価するべく、「在宅療養歯科診療所」が新設され新設項目が登場した。しかし、比較的高く評価されている項目はほとんど頻度がなく、高頻度項目の口腔ケアなどに関する報酬は施設において大きく減額された。口腔ケアは、在宅なら、介護保険を利用することで、大きな影響を受けなかった。一般的な訪問歯科診療も減額を免れただけで、在宅歯科診療を推進する改定とは思えない。

杞憂かもしれないが、低点数の「在口管」の導入により介護保険の居宅管理指導量の単価が安くなる懸念があり今後を注視する必要があると感じる。

全体を通じ、巧妙に増額と減額を使い分け、診療報酬の増加を調整しながら、医療の安全管理体制を強化をする方向に政策誘導する姿勢が顕著になったと思える。二年前の医療法の改定で歯科に注意喚起を促したことに続き、第二弾として登場した「歯科外来診療 環境体制加算30点」がそれだろう。この算定には、点数が低い割には施設基準がとして要求される項目が多く、医療安全対策や、感染防止対策を安価に、一気に進めようとする厚生労働省の姿勢が見える。医療の安全管理体制は全医療機関に推進されるべきだが、ハードルの高い施設基準をクリアした医療機関にのみ点数配分した事は問題と思える。しかし、この流れは今後とも続くと思われる。

それにしても、周知徹底期間が置かれないまま、正式通達も遅れたままで新制度を施行するやり方にはいつもながら立腹である。

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