06年北信越ブロック会議 歯科緊急是正要求




歯科診療報酬 緊急是正要求事項
06年5月30日

T.緊急是正要求事項
今回の改定では、本当に必要なのか疑わしい多くの文書交付、 カルテとレセプトの重複記載等、診療を阻害する算定要件が数多く導入された。
臨床の現場において、これらをすべて行うということになれば、 カルテ記載や文書作成等にかなりの時間と労力を要し、 もっと重要な患者さんとの会話を含めた診療時間を確保できない。
これでは本末転倒であり、何よりも患者のためにならないと断言できる。 厚生労働省は診療現場の意見を十分に理解したうえで、 緊急に以下の改善策を講じることを要求する。

(1)指導時の文書交付については、必要性が高い場合のみに限定すること
すべての文書交付にいえることだが、「患者の視点の重視」の観点で求められることは、 患者への文書提供を義務づけることではなく、 患者毎に異なる病状等への対応や患者からの疑問・質問などに歯科医師が丁寧に応え、 信頼関係を築いていくことである。
しかし今回の改定で文書作成に時間を割くことにより、 これら有効な指導及び指導管理に十分時間を割くことが困難となる。
また、個別に必要な指導内容ばかりでなく、 大多数の患者に共通する指導内容に関しても個別に文章を作成することが算定用件となったが、 共通項目に関しては既成の文章などで代用できる可能性が高く、 そのつどの作成は現場を窮地に陥れるだけで改善または撤回を求める。

以上の理由から次の6項目について改善を要求する。
@歯科口腔衛生指導料、歯周疾患指導管理料
これまでも療養上必要な指導及び管理を個々の患者の症状、 心身の状態などに応じ実施してきており、成果をあげている。 上記の指導管理を継続している患者に対しては、指導よりも管理に重点が移り、 毎回の文書交付は不要である。
A歯科衛生実地指導料
歯科衛生士が直接患者の口腔内で行う実地指導は、あえて文書にするまでもなく、 有効な情報提供は実地指導の中で行われている。 患者の口腔内状況や行った指導の要点などは、歯科衛生士業務記録簿に明記されている。 文書交付は不要である。
B歯科特定疾患療養管理料
今回の改定で、部の名称が指導管理等から医学管理等へ変更され、 医科では「特定疾患療養管理料」等に名称変更となり、 歯科では歯科特定疾患療養管理料が唯一つ指導料から管理料へ名称変更された。 これらの管理料の共通点は名称だけではなく、 別に厚労大臣が定める疾患を主病とする患者に対する療養指導・管理を行うなど、 同様の趣旨で設定された点数項目であり、 医科では文書交付は行なわれていない。歯科でも不要とすべきである。
C歯科訪問診療料
文書提供内容(依頼者、依頼年月日、依頼理由等(以上は初回のみ)、 日付、開始及び終了時刻、当該訪問診療で実施した治療内容、 患者の状況及びその他療養上必要な事項に関する情報)はカルテ記載でよい、とすべきである。
D補綴時診断料
患者に装着する予定の補綴物について、 「義歯、ブリッジ等の概要図、写真等を用いて説明する必要がある」とすればよい。 これで患者に効果的な情報提供ができると考える。
E新製義歯指導料
義歯の手入れ法などはほとんど個人差なく同じ指導であり、 特にオーダーメイドの文書作成の必要性はない。また、着脱方法などは個々によって異なるが、 文書作成よりも実際のトレーニングが大切で、文書化することはほとんど意味がない。

(2)レセプト摘要欄記載について下記のように改めること
レセプト摘要欄への記載事項について、「記載した場合に限り算定する」 とした記載要領通知を「記載すること」に改めること。
その上で、下記の記載事項については削除すること。
@歯周疾患処置10点 部位及び薬剤名  
A歯冠修復物・補綴物の除去15,30点  部位及び種類 
 B装着部位(病名欄の欠損部位でわかるはず) 
 C歯冠形態修正を行った歯の部位  
D補管中の再装着を行った部位、種類、年月日  
E未来院請求装着物の種類、装着予定日、装着できなくなった理由

(3)歯周治療メンテナンスの体系を根本的に見直すこと今回の改定により、 歯周治療のメンテナンスにおける診療報酬が大幅に減額されたばかりでなく、 歯周病のみならず歯科疾患全般を管理する内容に突然変更された。
周知期間もなかった。医科にたとえると『糖尿病を管理している場合は、 風邪を引いてもその治療費は糖尿病の管理料に含まれます』というようなものである。 これでは、歯科医師の患者さんの健康を守ろうとする意欲を失わせるものであり、 ひいては患者さんのためにもならない結果を導くと思われる。 患者さんも歯科医も安心してメンテナンスに取り組めるよう診療報酬と運用制度の改善を求める。

(4)歯科材料の安定供給に努めること金パラの価格変動が激しい。 最近は上昇し続けている。そのため、金パラの材料費が診療報酬の点数を上回る場合もある。 厚労省としても、すべてを市場に委ねるだけでなく、 金属料金と診療報酬が整合性を得れるようにな策を講じること。

U.その他、是正すべき不合理な点
【医学管理】
(1)技術料を引き上げること
現在の診療報酬体系のもとでは、 技術料の評価があまりにも低い。 そのため、歯科医院経営を成り立たせることが非常に難しい。
それに加えて、今回の改定では、「歯科疾患総合指導料」、 「歯科疾患継続管理診断料」、「歯科疾患継続指導料」等、 たとえ歯科医がその患者にとって必要と判断した治療であっても、 財政的裏づけがまったく保障されないようなシステムが導入された。 本当に国民の健康を考えているというのであれば、 歯科医の技術料を正当に評価するとともに、診療報酬を引き上げること。
【検査】
(2)スタディモデルの保存期間について
・スタディモデルの保存期間が3年間になったが、 何のためにそこまで全てを残す必要があるのか。 写真撮影して何になるのか。従来通りの保存期間とすること。
【処置】
(3)根管充填について今回の改定で、レントゲン撮影を行わなければ、 加圧根充を算定できなくなった。 しかし、強い嘔吐反応や、妊娠等の場合では、根充後にレントゲンを撮れないケースがある。 レントゲン撮影をしなければ、加圧根充を請求できないという算定要件は、 臨床からみて不合理であり、 この取扱いを速やかに改善すること。
(4)変色無髄歯の漂白を復活すること漂白を保険適応から外すことは歯牙の切削を意味する。 歯牙を保存しようとする歯科医の熱意を踏みにじるものである。 緊急に漂白を復活すべきである。
【手術】
(5)同一手術野に対する複数手術の取扱いについて同一手術野または同一病巣に対して 複数の手術を行った場合、主たる手術の点数を算定することとされた。
歯科医師が医学的に必要と判断した手術については、 その都度算定できるよう改めるべきである。
医科においては、副たる手術でも半分の点数が算定されている。
(6)歯根端切除術について歯冠修復物の除去を避けるために行う 歯根端切除手術が認められないこととされた。 しかし、これは医学的根拠をまったく無視している。 歯冠修復物を取り除けないからこそ、 歯根端切除手術を行う場合があることが適応症が含まれることを認識すべきである。
(7)顎関節治療について顎関節患者は経過を追って治療を進めていくが 、今回の改定で月1回の調整料になり、 2回目以降はどんなに時間をかけて診察、調整しても再診料の算定だけに変更された。
とても顎関節治療に取り組める条件ではなくなった。改善を要望する。
【歯冠修復】
(8)前歯部のポストクラウンについて 今回の改定で、 前歯部のポストクラウンが削除されたが、 ポストクラウンの方が適応症とされるケースがあり復活を求める。
(9)歯冠修復物または補綴物の除去について例えば、同一歯のクラウン (30点)とメタルコア(50点)を、日を異にして除去する場合、 これまではそれぞれ算定できた。
しかし、今回の改定で、どちらか一方の除去料しか算定できなくなった。
必要な診療は、きちんと評価されるべきである。
(10)他院で作製された自費補綴物の再装着他院で製作されたメタルボンドなどの 自費の補綴物は自費扱いとなった。 患者さんは突然の変更で困惑している。保険給付に戻すこと。
(11)補綴物維持管理料について補綴物維持管理料の点数が引き下げられたが、 「制度が普及したから」という理由は、理由になっていない。 必要なものであれば普及しようがしまいが、 歯科医師の技術料はきちんと評価されるべきである。
【有床義歯】
(12)補綴時診断料補綴時診断料は、かつては1口腔単位だったが、 その後、1装置単位となり、今回の改定で再度1口腔単位に戻された。
かつて1口腔単位から1装置単位に変ったときの理由は何だったのか。 また、今回1口腔単位に戻された理由は何か。
最初に補綴時診断料を算定した時点では、予見できないことというのは実際には数多くある。 それにもかかわらず、再度、診断が必要となった場合でも点数を 算定できないというのは理不尽である。
必要なものは、その都度算定できるようにすべきである。
(13)義歯製作における「遊離端加算」「補強線」「ろう着」について 
 2002年度のマイナス改定で廃止・包括された点数を復活すること。
【装着材料料】(
14)セメント料について今回の改定で、セメント料が22点から16点に引き下げられた。 その根拠は何か。当然、セメントは診療にとって必要不可欠なものであり、 きちんと評価されるべきである。
【在宅医療】
(15)訪問診療のエンジン加算について訪問診療で義歯の調整時にエンジンを使用した場合、 これまでは使用する都度算定できたが、 今回の改定で月1回になった。減算となった理由は何か。 義歯の調整やカリエス治療に必須の機械なのに、算定できないのは不合理である。

V.次期改定までに是正すべき点
(1)十分な周知期間を設けること
今回の改定でも、周知期間がほとんどなかった。 このような状況では、各歯科医療機関が、4月からの新点数に対応することは不可能である。 特に今回は、マル未請求の通知等で、現場に大変な混乱を招いている。
4月1日から施行するのであれば、少なくとも前年の10月には告示・通知等をすべて発出し、 6ヶ月間の周知期間を設けること。
(2)告示・通知で示した診療報酬の取扱いに反する解釈を事務連絡やQ&Aで示すことをやめ、 変更がある場合は告示・通知を訂正すること。
今回の課長通知はその後に出された明細書の記載要領との整合性が無い個所が目立ち 、更に未装着補綴物の保険請求を70/100に減算するとの通知が3月31日付で訂正・撤回され、 4月以降も次々に取扱いの変更や訂正が行われるなど、 杜撰な改定である。
診療に支障をきたすことのないよう、場当たり的な対応を行わず、 周知期間を考慮して通知を発出すること。
例えば、今回の改定で処置の「特に重度のメラニン色素沈着症の治療(22点又は140点)」 及び「変色無髄歯の漂白(40点)」が突然点数表から削除されたが、 このような改定事項がパブリックコメントを求める改定案の段階では示されておらず、 運用通知の段階で明らかにされた。
重大な廃止・変更を一片の運用通知で行わないこと。










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