施設における訪問口腔ケアその6




(口腔ケアその6) 10月号 2006年
前回、口腔ケアの質・量によって結果は大きく違ってくる可能性が高いことを書きました。
私たちが施設における口腔ケアを始めたころ、巷に、 『 口腔ケアを実施すれば発熱・肺炎が予防できる』と記述した関係出版物を目にし始めました。
しかし記述だけではどの程度のレベルのケアを実施したのかが、 現場の第一線の開業医にしても、いまひとつ実感できない状態でした。
それは口腔ケアにおいては、 誰もが共有できる方法と結果に対する判定方法が確立・普及していなかったからです。
論文に登場するのは、著名な大学教授が指導し、 施設に歯科衛生士の経験を有する職員が常勤する施設における口腔ケアの実施形態で、 とても一般的だとは思えなかったからです。
そのような普遍性に乏しい方法が、我々レベルの一般開業歯科医に受け入れられるのか、 そして全国的に普及し、数多くの要介護者のQOL向上に貢献できるのか疑問でした。
そもそも、施設によっても、 ヘルパーさんや歯科衛生士によっても力量が同じであるはずがなく、 実際の現場ではどのようなチーム編成やケアレベルなら途中で挫折することなく長期間継続できるのか、 誰も答えを知らない状況でした。
別な表現をすれば、ある限られた方法だけの結果は判っていても、 そのほかに、どの程度のケアなら開業医にもできて、 どの程度の結果が期待できるかが不明だったのです。
> そこで、自ら行うことで糸口を見出すしかなかったのです。
長期にわたって負担にならないシステムで、 かつ有効な口腔ケアレベルの研究というやつだ。
私たちの行った方法がベストとは思わないが、 通常の開業医レベルで可能な方法は見出したと思う。
結果を要約します。
入居者数が80人規模の特養なら、チーム構成は歯科医師が二人と歯科衛生士が1人で可能と思われる。
最初の数年は歯科医師が毎月数回の往診を要するが、 その後は毎月一二度で対応できる。
また歯科衛生士はスクリーニングの結果に基づき、 難度の高い人をケアすることで一週間に半日を当てるだけでそれなりの結果を出せることも解った。
調査の一部を簡単にグラフと図にしました。
口臭除去に関しては全く問題なく解決できましたので割愛しました。
熱発に関して対象者を『歯の有無』で分けたのは、 歯科衛生士が担うことの多い専門的口腔ケアが必要とされるケースは有歯顎者が多いからですし、 逆に歯がなければ単なる清拭でも充分対応が可能なケースが多いからです。 口腔ケア開始の前後で比較してください。
有歯群においては、口腔ケアの効果が高く出ました。 つまり歯があるとケアが困難であると同時に、 歯科衛生士によって十分なケアが行われれば効果も高いと言えそうです。
統計学的にはもう少し人数が欲しいところですが、何とかものが言えそうな結果が出ました。 参考になれば幸いです。










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