施設における訪問口腔ケアその5




口腔ケア そのー5、9月号
施設での往診は保険制度上の回数の制約があることを先回書きました。在宅でも同じです。
施設の口腔ケアがテーマですが、在宅でもケアの内容は変わらないので、 在宅での経験を書きます。失敗例と成功例です。
老人二人暮らしの家庭を歯科衛生士と訪問しました。
ご主人が認知症、座位は可能だが歩行は奥さんの介助があれば何とかできる程度。 歯が動くので食事のときに痛がる。歯ごたえのあるものは無理。 特に上顎の前歯は重症の歯周病でした。
歯科医の立場では口腔内に激しい炎症があるのに、 単に食事ができないからといって食事に工夫を凝らすだけでは不満です。
グラグラする歯を抜いて入れ歯を作ると言うケースもありますが。 抜くに抜けないケースもあります。今度もそんなケースでした。
とりあえず最初は歯科衛生士がケアをしました。
少しは肉に触れるだけで痛がります。嫌がりました。 歯の裏側が難しい。室内の照明が弱く、もう一本手が欲しい状況でした。
週一回の割合で数回訪問しましたが、もう一歩のもどかしさを感じて、 見学していただけの奥さんにケアの仕方を指導することにしました。
高齢なので、できるだけ簡単正確に行えるようにと、 いろんな清掃用具で試してみました。
できるようになったと思って、翌週訪問するとさほど改善されていません。 お話をお聞きすると、中腰の姿勢で20分から30分のケアはつらい。 ご主人も気持ちよく口を空けてくれる日ばかりではないし、 それに目が悪くてよく見えないので不安で、積極的にできなかったとの事でした。
最低でも1日一回の口腔ケアがあれば劇的に改善すると期待していた私は立ち往生し手しまいました。

次の例は、50代の夫婦二人暮らしのケースです。
奥さんが医療関係の資格を持った方で、脳卒中で寝たきりになったご主人のケアを行っていました。
しかし、歯が動くし痛いので、ほとんどの料理が食べられないばかりか、 口から血や膿が流れ出て、枕が毎日汚れる程でこの先どうなるのかと、途方にくれていました。
最初の数回は歯科衛生士が中心にケアを行い、 奥さんは見学していました。
このケースでは、介護する奥さんの能力が非常に高く、 ケアの方法を指導すると徐々に習得してしまいました。
親身になっている奥さんが、歯科衛生士レベルのケアを毎日3回、 根気よく続けるのですから、症状はみるみるうちに改善していきました。
1ヶ月で膿が消え、2ヶ月で歯肉からの出血と腫れが消え、歯の動きも止まってきました。
結局、3ヶ月ほどで、口腔内がすっきりし、入れ歯を作ることができました。
咬むところができ、ケアの達人がそばに居るわけですから私もご主人も安心できたケースです。
結果の良し悪しは、 必要とされるレベルの医療や介護が十分に給できるか否かににあることはい言うまでもありません。
前半のケースのように、介護する家族に必要な機能が果たせないときには、 医療関係者が制限回数や時間制限などの制約を受けずに、 安心できる料金で提供できる制度が望まれます。










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