施設における訪問口腔ケアその3と4




施設における口腔ケアそのー3
施設に入所している方に、口臭測定器を使って口腔ケアの効果を測定してみた結果はどうなったのか? 
まず対象者のイメージを正確にしましょうか・・・・ この方は意思の疎通は不十分ながら可能で、こちらの指示で口を開けさせることができます。
口腔内には歯周病や虫歯に罹患した歯が上下顎に多数あります。 舌苔は少ない。唾液量は十分です。嚥下もできます。 そして、口腔ケアを担当した人は歯科衛生士でなく、施設勤務のヘルパーさんです。
対象者の病態や、誰がどんな頻度で対処したのかで、結果は大いに異なってきます。
したがって、一般論での論議は誤解を招くだけなので、特に注意を喚起しておきたいところです。
さて、口臭の程度は、離床直後に測定値は最大を示す。 これは既知のことで、今回もデータに示されています。
食事の直後は急激に測定値が下がるのは、 口臭原因物質を食物もろとも飲み込むから減少したためで、 これも既知のことです。
食事直後に、口腔ケアをしても値は変化がなかった。これは新発見です。
但し、どのレベルの口腔ケアにおいてなのかに関しては十分論議されるべきです。
このケースでは、食事の直後とそれに続く口腔ケアでの測定値の差はほとんどなかったのですが、 一週間に一回の特別なケアを続けるうちに、 離床直後の測定値が漸次的に減少し、食後の値も小さくなる傾向が出た。つまり口臭は減少して行った。
歯科衛生士でなくても改善できたケースですが、 これが毎日のケアならばもっと良くなったのか、 毎日でなく一週間に3回でも十分改善できるのか新たな興味が次々と湧き上がってきます。
しかし、理想はあっても、 施設内でのルーチン化されたケアでどこまで改善ができるのかという問題が浮上してきます。
入所者一人当たりどれくらい口腔ケアに時間を割り当てることが可能か、 労働時間と内容そして人員数の問題になってきます。
つまり施設の取り組み方で大きく左右されるわけです。
この点が当初に書き記した施設全職員の理解が必要と言う意味です。
ケースによっては、職員だけでは対処できないと判断した場合に、 部外の歯科医師、歯科衛生士などに応援を求める選択肢を採用することも施設の判断です。
一方、口腔ケアを行えば口臭は比較的簡単に改善できることは証明されたのですが、 それがどんな意味を持つのか? 
口臭だけでは物足りないのではないでしょうか? 
やはり、QOLの向上改善に寄与できないと余り意味がないのではないかという疑問です。
実は、口腔ケアは単に口臭を改善するためだけにあるのではないのです。
続く

施設における口腔ケア そのー4
口腔ケアの究極の目的は、口腔に起因する感染予防にあるのです。
たとえば、歯周病に罹患している部位では、急性発作を抑えることが最大の目的です。
本格的治療は不可能なので、治癒にはできませんが、 穏やかに歯が抜けていくように誘導することができます。
実際の経験で言うなら、数年の経過のうちに、 重症の歯周病罹患歯は順番に腫れることもなく静かに抜け落ちていくケースを数多く診てきました。
意思を伝えることもできない、ほとんど寝たきり方々なので確認はできませんが、 苦痛を伴うことはなっかたと思います。
また、入れ歯を清潔に保つことは真菌症の予防や入れ歯による傷からの感染を少なくできます。
また、口腔内を清潔に保つことは肺炎予防とまでは言い切れませんが、 熱発の予防には効果があるといえます。
このことは全身の管理に寄与できていることになります。 私たちのデータだけでは疑問だという方も、 他にちゃんとした疫学的に根拠ある論文も出ていますから信じてください。
但し、この論文に登場するケアを実施した方はベテランの歯科衛生士です。
第一回目から、私がしつっこく歯科衛生士を登場させるのはなぜでしょうか。
医科における清拭とどこが違うのでしょうか? 上あごや舌にこびり付いて無理やりはがそうとすると出血しそうな剥離上皮の厚い塊(痂皮)は、 湿らせて十分に軟化してから剥がします。
ブリッジの底の食物残渣や歯垢は歯間ブラシや曲がった細いブラシなどを使います。
歯周病で腫れている部位、たとえば歯と歯の間や裏側では、 隠れている歯垢(菌)を時間をかけてかき出します。 つまり、歯科衛生士は一人に十分な時間を割きます。
次に、清拭では困難な部位を専用の道具を用いてケアします。大きな違いはこの二点です。
当然それなりの訓練は必要で、誰でも簡単にできるものではありませんし、 どんなケースにおいても対応できるとは言い切れませんが、 多くの場合はちょっとした対処で改善できるところが味噌です。v しかし、制約もあります。専用の清掃用具は無料で提供しても良いのですが、 医療制度上、回数の制限や時間の制限はどうにもなりません。
十分な設備を具備できないことなど、往診による制約もあります。
それらは歯科医をイラつかせています。 真に国民の健康に寄与できる制度上のバックアップを渇望しています。










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