口腔ケア―研究―課題 




ホームケア メディシンの10月号に
『口腔ケアを抜きにして介護できるか?』との特集記事に米山歯科クリニックの米山武義氏のインタビュー記事が載っていました。米山先生や、山部一実先生は歯科会では有名です。
記事は、先ず冒頭から、肺炎の起炎菌の多くは口腔常在菌であるといわれているーーから始まる。そして適切な口腔ケアを実施すれば発熱や肺炎の発生予防が可能だとするものです。

@私は先ず大前提から疑問に思っています。
肺炎などの起炎菌ではなく感作しやすくするのが口腔内の常在菌とする説が主流と思うのですが。これに関連しては、興味のある方は、石川県保険医協会出版のペリオドンタルメディシンをお読みください。

A徳島大学の歯学部口腔細菌学教室の協力で5ヶ月に渡る研究が有名ですが、
内容は歯科衛生士が毎日1回機械的清掃、他は本人による口腔清掃。
介護主任が歯科衛生士の資格を有し、18年臨床経験を積んでいたことが特徴で、
高い口腔ケアのレベルを達成することが出来たという。何処でもできる方法ではない。
つまり普遍性にかける方法だと思うのです。
また、咽頭部の細菌数を測定し、それが十分の一になったという。10の7剰が10の6剰単位になった事をいかに評価するかですが、咽頭部の細菌数と口腔の細菌数の相関が不明です。また、どのレベルになれば、どの程度臨床的に効果が生じるのか不明。

Bこの研究の追試をした。
今度は、総数ではなく、ブドウ球菌、緑膿菌、カンジダ、黒色コロニーで調査したという。
確かに、4分類とも、検出率では口腔ケアをすると減少したようです。
検出したことと、量とは違うと思うのですが、ゼロになったことはかなりの評価の対象になると思う。しかし、300種とも言われている口腔細菌のごく一部です。
本人も認めているように、この結果だけで肺炎の感染に結びつくとはいえません。

更に研究は続きます。(この研究自体は大変大変尊敬しています。)
今度は、東北大学の医学部老人科呼吸内科の佐々木英忠教授の指導で全国11箇所の特養で366人を対象に口腔ケアと肺炎の関係を調べたという。
施設の介護者が毎日の口腔ケアを実施し、歯科医師、歯科衛生士が週1から2回、専門的清掃を実施。
7日以上の発熱 15%対29%(対照群)
肺炎      15%対19%
肺炎による死亡 7%対16%     効果はあったようです。

無歯顎者と有歯額者との比較では 有意の差はなしとされた。
つまり、歯周病の原因菌との関係を関連付けることは出来なかったという。
(本当は、個人的には口腔内常在菌、その中でも歯周病菌が関与していると思っているの
で、有意な差があって欲しかった。『ペリオドンタルメディシン』を出版する際に勉強したのですが、医科の呼吸器専門家は全く違う考えをもっています。肺炎の原因菌は原因菌として確定されている、口腔内の菌はたまたま其処にいただけという考えのようです。)

私が問題にするのは、口腔ケアの実施者、回数、時間、そして、どのレベルの対象者に実施するのかが不明なことが、ほかの研究との比較に困難を生み、積極的普及に曖昧さを残すのではないかと危惧するのです。








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