口腔ケアその3(唾液)



E)口腔清掃(ケアー)を考える時のポイントは唾液を理解する事

唾液
口腔ケアーを行なう際に、どうしても忘れてはならない項目が有ります。それは唾液です。唾液と細菌といった方が良いかもしれません。
唾液と細菌は、口腔の健康を司っている大きい要素です。
唾液はある細菌に対しては、抗菌性を有すると同時に、またある細菌に対しては、増殖、刺激作用を持ちます。

唾液その1)唾液の抗菌性や様々な機能
免疫グロブリン
IgG、 人の血清中1,2%で血液中最も多く、 胎盤を通過して母親から子供に受け継がれる。IgG1〜IgG4
IgA、 血清中IgAと分泌型IgAは異なる。 分泌型は唾液中の免疫物質として最も重要な免疫グロブリン
IgM 10%、 IgD 0.2%、 IgE 0.004%
粘膜面において微生物と特異的に結合し、粘膜面への侵入を阻止しているのが分泌型
IgAです。口腔内へは、唾液腺に存在するBリンパ球により生産され放出される。
唾液1000ml分泌する人は、そのなかに分泌型IgAを約0.2g含む。唾液は口腔に進入する微生物に対し、さまざまな抗菌物質で対抗し、健康維持に大切な役割をしている。
分泌型IgAのほか 非免疫性の抗菌物質で感染防御をしている。
   @)リゾチーム A)ぺルオキシダーゼ B)ラクトフェリン
   C)ヒスタチン D)シスタチン E)フィブロネクチン F)スリピ
これらを見ると、口腔内に細菌は存在できそうにない様にも思えます。
確かにこれらの抗菌因子は、病原体の進入に対して口腔内の防御機構の一部を担ってはいます。しかし、普通は、あまり病原性を持たない細菌などと共生を許しています。
してみると、唾液の最も有効な抗菌メカニズムは、自浄作用に有るのではないかと考えるほうが自然です。 
 
唾液中の細菌数  
唾液は1m当たり10億個の細菌を含んでいます。(歯垢中は1mgで1億個)
嚥下によって多量の細菌を排除している事になります。
唾液の減少は細菌の急激な増加をもたらす事になります。


唾液の機能
潤滑作用、イオンの蓄積 石灰化の促進、緩衝能、浄化作用
抗菌作用、消化の手助け、味覚を感じる為の援助、水分の平衡調節作用
唾液にはさまざまな機能が有ります
次には唾液と関連して虫歯予防、口腔乾燥症などを述べます。

唾液その2)虫歯予防  
唾液は、 虫歯予防に大切な働きもしています。
虫歯とは脱灰、均衡、再石灰化の間を揺れ動く流動的な過程である と定義されています。別の表現を取れば、虫歯とは歯に付着した細菌が産する酸により、プラーク内部の酸性度が長時間にわたって歯質のpHを超え、脱灰.再石灰化のバランスが崩れて
脱灰が進む疾患であるという事ができます。
成熟  脱灰  Ca,Po4の溶出 プラークpHの回復 緩衝能 再石灰化

唾液の役割 部位の違い 量 性質
間食の回数 (量ではない)
フッ素の効果
キシリトールの効果
夜寝る前の唾液の分泌 虫歯は夜造られる?!

唾液その3)口腔乾燥症 
唾液の分泌量
安静時の唾液分泌速度(UFR)は 0.3ml/分
睡眠時の最大分泌速度は0.1ml/分以下
食事中の平均的唾液分泌速度は4ml/分
刺激唾液分泌速度(SFR)1〜2ml/分
規格のパラフィンワックス(1.5g、融点42℃) 2分間で

安静時の全唾液量に対する耳下腺唾液の量は約20%
顎下腺は65%
舌下腺は7〜8%
小唾液腺7〜8%
分泌速度の速い時には(食事中など)耳下腺が優位で50%を占める。
しかも時間と共に唾液の組成も変化する(P40)
口腔乾燥感は UFRで約50%に低下すると出現する。
UFRで0.1ml/分 SFRで0.5ml/分 以下の患者さんには注意をすべきでしょう。

口腔乾燥症の原因  
薬物
放射線療法
全身疾患 シェ−グレン症候群が顕著です
加齢は疑問です
咀嚼回数の減少
咀嚼回数の減少は唾液腺の萎縮を引き起こし、唾液の合成分泌の低下をもたらす。

口腔乾燥症の疫学
一般の人の4人に一人が口腔乾燥症もしくはそれに関連する症状を訴えている
高齢者では、40%が口腔乾燥を訴えている

義歯の吸い付きが悪くなるという事ばかりでなく、唾液腺の機能低下が
口腔内の浄化作用の低下をきたすという事が重要です。
通常では(つばを飲み込めない人は別です)、唾液中に含まれる食べ物や細菌の
90%以上は最初の嚥下で口腔内から排除され、残りも30分以内にはほとんど排除されます。 この機構が非常に効果的な為、健康な人の口腔内に外来生物が
規制する事が困難になっている訳です。
この浄化の低下は重要な意味を持っています。
糖の残留は虫歯の発生を増加させるし、免疫力の低下している高齢者では
グラム陰性カン菌による悪性の肺炎を誘発する。
カンジダ症は口腔乾燥症の患者に見られる一般的な所見です。

対処法
薬が原因で唾液が減少している場合は、薬を止める訳にはいきませんから、
人工唾液の使用が良い 特に歯が残っている人には有効
その他では 10%レモン水が良い効果をあげているようです。
すっぱいものの刺激で唾液分泌を促進する訳です。

また、直接、耳下腺.顎下腺を指で刺激する方法もあります。







このホームページの著作権は平田歯科医院に帰属します。
Copyright (c) 2002 Dental hospital HIRATA. All rights reserved.