読売新聞掲載 消費税




読売新聞から
少子高齢化と財源 消費税が有力候補
 「団塊の世代」の高齢化を前に、年金、医療、 介護などの社会保障の財源をどうするかが大きな問題となっている。
中でも有力視されるのが消費税だが、参院選の結果を受け、論議は封印されたままだ。
消費税を社会保障財源として目的税化した場合のメリットやデメリットは何か、 また、 どうすれば低所得者への過重な負担を避けられるのかについて考えてみた。(社会保障部 猪熊律子)

一般歳出の4割
 「少子高齢化で社会保険料負担が増し、集めにくくなっている」 「社会保障が充実した海外の福祉国家では(消費税に相当する)付加価値税を重視している」  「消費税率据え置き」を掲げた民主党が躍進した参院選後の8月上旬。
政府税制調査会(首相の諮問機関)の香西泰会長は記者会見で、 政局に配慮してか税率引き上げについては一切触れなかったものの、 社会保障財源としての消費税への期待感をにじませた。
 国の一般歳出の4割を超える社会保障費は今後も増加が予想されるだけに、 その財源をどうするかは大きな問題だ。
2009年度までに、基礎年金の国庫負担引き上げも予定されている。
政府は、歳出削減を徹底しても対応しきれない社会保障などの負担増については、 「安定財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない」(骨太の方針2007)としており、 その最有力候補が消費税だ。
 「所得税は現役世代の負担が重く、労働意欲や所得捕捉の点で問題がある。 法人税は税収の安定性や企業の国際競争力から見て現実的ではない。相続税強化は一案だが、 税収規模は1兆円程度。規模や財源の安定性、あらゆる世代に広く公平に負担してもらえる点で、 消費税は現実的」と、元政府税調会長の石弘光・放送大学学長は指摘する。

目的税化の是非
 ただし、消費税を社会保障の目的税化することについては、賛否両論ある。
 反対論としてよく挙げられるのは、道路特定財源に見られるように、 財政の硬直化を招きやすい点だ。
消費税と社会保障費用との間に関係性がなく、目的税になじまない、 という指摘もある。
海外でも、社会保障目的税を設けているフランスの例はあるものの、 消費税を社会保障目的税化している国はない。
 一方、目的税化により、消費税率引き上げへの国民的合意が得られ、 社会保障制度の長期計画が立てやすくなるという賛成論もある。
日本総合研究所の西沢和彦主任研究員は、「税の使途を制限するのは本来、 望ましくないが、年金などの長期給付を持つ社会保障は、単年度ごとの一般会計にはなじまない。 防衛費や公共事業費などと競合させないためにも、目的税化は一つの選択肢だ」と話す。

負担の逆進性
 課税ベースの広さなど利点の多い消費税だが、最大の欠点とされるのが、 低所得者ほど所得に対する税の負担割合が高くなる「逆進性」の問題だ。
 「生涯所得への負担割合で見れば、逆進性はない」とする学説もある。
だが、税率の高い国々では、食料品などは例外的に低くする「軽減税率」や、 社会保障給付などで逆進性を緩和しているのが一般的だ。
財務省のデータ(04年分)でも、消費税の負担率は、平均年収1133万円の世帯では2%なのに、 305万円の世帯では3%に上る。
 消費者が払った税が事業者の手元に残る「益税」や脱税も、 消費税の問題点として指摘されている。
だが、税の不正防止に役立つとされるインボイス(税額明記の仕入れ伝票)方式は、 事業者の反対もあって、日本では導入されていない。
これらの問題は、消費税率が引き上げられれば一層深刻となるだけに、 税の公平性、透明性確保に向けた改革は急務といえる。

政治の責任
 消費税を欧州諸国並みに引き上げて軽減税率を導入する場合、 どの食品を対象にするかなど、その合意形成や実施手続きには時間がかかる。
その意味で、本格的な議論を先送りし続けてきた政治の責任は重い。
 今や国民の最大の関心事は「暮らしの安心」であり、 その負担を誰が、どう分かち合うかの議論は待ったなしだ。 税率を引き上げた場合の影響や引き上げの際の条件をどう整備するのかなど 、政治は負担増論議から逃げず、前向きに議論を進める必要がある。

低所得者対策 給付付き税額控除で
 消費税率引き上げで低所得者の負担がさらに高まれば、今問題になっている 「格差」の拡大を助長しかねない。
こうした逆進性を緩和するための対策の一つとして注目されているのが、 所得税における給付付きの「税額控除」だ。
 税額控除は、いったん算出された所得税額から一定額を控除する仕組み。
算出税額が30万円、税額控除が10万円の場合、10万円が減税され、差し引き20万円を納税する。
 所得が低く、課税水準に達しない人(算出税額が0円)の場合、日本では、 納付税額がゼロになるだけだが、差額の10万円(0円マイナス10万円) を現金で給付している国もある。
この方式は「給付付き」と呼ばれ、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中にも、 就労を条件にこの方式で低所得者対策を行う国が増えている。
 例えば、生活保護を受けていた人が働き始めて収入を得るようになっても、 保護費の打ち切りや税・社会保障負担などで手取りが減ると働く意欲を失いかねない。
そこで、所得税の課税水準に達するまでは給付付き税額控除で現金を給付、 課税水準を超えたら通常の税額控除に切り替える。
 就労条件だけでなく、子供を多く持てば持つほど給付が多くなる仕組みや、 社会保障制度の一環である児童手当や生活保護を給付付き税額控除に改め、 税と社会保障を一体とする改革を進めている国もある。
 「日本で導入するとなると、正確な所得捕捉や、各種控除の見直しなどが必要となる。 実現のハードルは高いが、社会保障を含めた総合的な議論ができるうえ、 効率的な低所得者支援が期待できるので、ぜひ検討するべきだ」 と中央大の森信茂樹教授(租税法)は指摘する。
 また、カナダでは低所得者に消費税相当額を還付する仕組みを導入している。

消費税
1989年4月に税率3%で導入。
97年4月から5%に引き上げ。うち1%は地方消費税。
99年度の予算総則で、消費税収入(国分)の使途を基礎年金、老人医療及び介護に限るとし、 以降、毎年、高齢者3経費に充てられている。
税法で使途を限定していないため、目的税化とはいわない。
2007年度予算の国の消費税収入(地方に配分する分を除く)は7.5兆円、 3経費の金額は12.8兆円で、5.3兆円分が不足している。 1%あたり約2.6兆円の税収がある。

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