第七回食育講演会犬井先生  (平田米里)

東日本大震災の混乱も落ち着かない4月3日、7回目を迎えた食育講演会は予定通り開催された。

新潟県は小中学校におけるフッ素洗口が有名であるが、全国で初めて「歯科保健推進条例」を定めた事でも知られている。最近では食育に関する様々な活動を展開している事でも注目を集めている。新潟県と新潟県歯科医師会の製作によるパンフレット「よくかんでおいしく食べよう!」にその一端を垣間見ることができる。今回はその新潟県で食育啓蒙活動の中心的人物として活躍されている犬井先生を講師としてお招きした。

(新潟県柏崎市で開業されている講師は自身も過去に二度の大震災を経験されているとのことで、胸には黒色の喪章を付けての講演となった。)

 

講演は新潟県歯会作製のDVD「かむことの効用は ひとがすき」の上映から始まった。歯科から国民にどんな内容を発信すべきかコンパクトに編集されている優れものであった。ちなみに「ひとがすき」は、(ひ)肥満防止、(と)糖尿病予防、(が)癌予防、(す)ストレス発散、(き)記憶力アップの頭文字である。また、「ひとがすき」のライフステージを、めばえ、準備期、確立期、維持期、結びの5ステージとして捉え、さまざまなアプローチが試みられているとの紹介があった。

しかし、最大の目玉は講師が学校歯科医を担当する二田小学校におけるユニークな取り組みであろう。単に大人の都合で押し付ける取り組みでは 子供たちが受け入れてくれないため、いろいろな工夫を凝らしていると語った取り組みの数々は聴衆にとって目からうろこであった。以下いくつか紹介する。近年、口輪筋の未発達による富士山型上口唇が問題視され、その改善推進策としてボタンを使った口輪筋の筋トレが推奨されている。しかし単純に生徒に筋トレを進めても実効性が低い。そこでボタン相撲を校内競技大会として催したところ大きな成果と反響があった。実際に体育館が震えるばかりの歓声の中で行われる様は圧巻であった。

また、5秒間で発語された「ぱ音、た音、か音」を測定できる「健康くん」なる機器を開発し、それを用いた校内大会。一定時間の中で、どんな食事ではどれだけの回数を噛むことになるのかを測定できる「かみかみセンサー」なる装置を使った学校給食現場での調査。まさにどれもこれもアイデア満載の取り組みと言えよう。氏の取り組みはそれに止まらず、次にはそれらを歯科検診項目にまでとりこんで口腔機能を評価しようとする。総じて、単に病因論を語るだけに終わらず、どうすれば改善につなげられるかを追求する姿勢に、多くの参加者は元気をもらったようで、講演後には、DVDや資料の追加注文が殺到した。元気を戴いた犬井氏に感謝、感謝である。