EBM講演会 第二回 名郷直樹




名郷先生講演会
つねづね不思議に思ってきたことがあります。
それはフッ素の虫母予防効果とその安全性危険性に関しては、 専門家、科学者とされる人の中でも意見が大きく分かれる点です。
私のイメージでは(統計を取ったわけではありません、 あくまでイメージです)フッ素の利用に賛成する人は現場を知っている人、 すでに実践したことのある人が多く、 反対する人は医者やフッ素の臨床を経験していない人の多いように思います。
こういう個人的見解が・・・・幅を利かすようでは・・・問題なのです。
賛成したから実際に使用してみた・・と言う人が多いのは当然です。 このようなあいまいさや無茶苦茶をなくするためにはどうすればよいのか。 それが今回のテーマの一つだと考えています。

さて、フッ素に関する文献は2万6000編とも言われています。
あまりに多くの論文があるために論文のサンプルを10個くらい集めて議論しても、 偏りが生じやすい事は容易に推測できます。
どんな優秀な研究者でも全部を読みきることは不可能でしょうし、 研究の方法、研究の完成度さまざまな要因があり、 ぜんぶの論文を同じ重みで評価することは意味がないとも思えます。
最近の システマティック レビューならどうでしょうか?
多分ご紹介くださるであろうPECOの関しても、同じ手法を用いても、 フッ素に関しては賛成反対が論じられのではないでしょうか?
私の記憶では20から30年前の、過去にあった議論では 泥沼でした。
一般の臨床医はどうすればよいのか、大いに困惑するところです。
研究者、専門家とされる人たちにおいても意見も統一がなければ、単なる臨床医はそして、 一般患者さんはどうすればよいのでしょうか。
如何に真実につかづくかそれが問題で、 今回はその方法の一つを紹介していただけるものと期待しています。

紹介・・・・・
私が名郷先生を知ったのは
最初は新潟大学の助教授八木稔からです。
次には、保団連の研究部会で兵庫の医科の先生が感銘を受けたと・・お話された時です。
どんな先生か直接お会いしたことはなかったのですが、 お話をお聞きしてみたいと切に思うようになりました。
それで今回の企画になったわけです。

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歯科講演会EBMシリーズ 第二回 
『EBMを実践しよう』
社団法人地域医療振興会 公益事業部 地域医療研究所 地域医療研修センター 名郷直樹

名郷先生の名前をはじめて知ったのは、第一回のEBM講演会講師、 新潟大学助教授八木稔氏からだった。
次には私の尊敬する兵庫協会の内科医からだった。
両人からは、その方面に興味のある人には非常に面白く有益なお話だが、 どんな人が聞いても興味を示す分野ではないことも確かである。
しかし、歯科医が単なるテクニシャンでなく、 科学者の端くれでありたいと自覚する人には必須のものと確信しているとの 助言をいただいたことを覚えている。

今回、氏からは、『論理的思考を要求する事柄に応用できる方法とはいかなる方法か』 について自説ではなく、世界のスタンダードを提示していただき、解説していただいた。
その要旨を掲載します。
@ EBMの5つのステップをマスターしよう!
(1) 患者の問題の定式化
(2) 問題についての情報収集
(3) 情報の批判的吟味
(4) (1)〜(3)の評価

A(1)はEBMの基礎となるもので、 論文の読み方や研究するときの指針として非常に重要なポイントである。
内容はPECOで、これに沿って読み進めると単純化されて理解しやすい。これは本当です!!。
具体的には以下のようなことです。
P(patient)どんな患者に
     E(exposure)何をすると
     C(comparison)何と比べて
     O(outcome)どんな結果になるか

B(2)に関しては情報の妥当性が高いほど、関連性が高いほど、 労力やコストが低いほど臨床医にとっては好ましい事は言うまでもない。
情報収集にはシステッィクレビューが有効で 、Cochrane Library 、Clinical Evidence、ACP Journal Club、 その歯科版 Evidence-based Dentistry がお勧めであるとのこと。
このメタ分析においては、一つの論文で数十編の論文が網羅できることが売りで、 特定の課題について系統的に情報収集が出来る利点がある。
と同時に、批判的吟味が可能で、治療や予防の有効性に関する情報が得られる。
C(3)の批判的吟味についてはPECOに沿って論文を吟味するとエビデンスのレベルが見えてくる。
研究方法は妥当か?・・RCTがきちんと確立しているか、 コホート研究なの、それとも患者対照研究なのか、 単なる意見なのかを知るだけでも信憑性が見えて繰る。
そしてその結果は目の前の患者さんに有効か?・・を充分吟味する必要がある。
ただし、結果を扱うときには、真のアウトカム(真のエンドポイント) と代用アウトカム(中間エンドポイント)との相関がきちんと確立されていることが前提で、 間違った代用アウトカムを採用された論文だととんでもないことになるからこの点には注意が必要。
そもそも、その論文の情報は真実か嘘かでしかない、 他にあるとすればたまたまの偶然かがあるくらいだから、 それにはメタ分析、PECOを当てはめ、後はちょっとした統計の知識があれば批判的吟味ができる。

D(4)の評価が需要。目の前の患者さんに適応するか否かを決める段階である。
論文と目の前の患者さんとでは、論文の結果が適応できないほど異なっていないか、 そして、すべてのアウトカムが評価されたか判断し、 なおかつコストや害を上回る効果が期待できるかを吟味した上で判断することになる。
このようなEBMを実践することで講師自身の臨床が問診や診察を重要視するようになり、 患者さんに治療を共用しなくなった。変化したと語った。
患者からの情報を収集し、その患者に似た研究結果を勉強し、 その二つの情報を統合し、目の前の患者にとっての最善の医療は何かを自問すること。
EBMが役に立つかではなく、EBMを利用する自分自身が患者の役に立てるかどうかを自問すること。
論文ばかり出なく自分自身にも批判的視点を持つことが大切であると・・・・・講演を締めくくった。










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