審査、指導に関する会員懇談会

平成23年7月30日(土)

ホテル金沢 第一部 工藤、山本PM6時〜8時 

第二部  懇親会

参加者数45人

 

 

会の冒頭は、日本における医療サービスは医療保険制度によって保障されることになっているが、その内容は歯科医師法の第1条「・・・国民の健康の保持・増進を目的とする」という条文や、憲法25条さらには国際人権規約12条で謳われているものを医療の面で具現化すべきものであることは言うまでもなく、究極「誰もが必要なときに必要な分だけ医療を受けられるようにすることを」目的とするものであると、工藤事務局長が高らかに言い放つところから始まった。

彼は続けた。現行の健康保険法では、保険者は被保険者(皆保険制度が前提の日本では国民全てとなる)に対し現物給付を行うとされている(健康保険法第63条)が、保険者自身は医療という現物を提供できないことから、医療機関と契約を結ぶことになり、医療を受けようとする者は厚生労働省令で定める医療機関で、厚生労働大臣の登録を受けた歯科医師から受けることと定められている(ここで国・行政が関与してくることになる)。

さて契約の中身だが、保険者は保険医療機関に対して診療報酬点数表で定められている報酬を支払う債務がある一方、あらかじめ定められた約款、つまり「療養担当規則」で示された方針に従うことを要求する。その結果、保険医療機関は療養の給付を行うにあたっては定められた基準を遵守すべきであり、契約内容の周知徹底のために「指導」を受けなければならない(同73条)と定められることになる。

さて今回のテーマである「指導」であるが、不正等が強く疑われ最初から何らかの処罰を前提とした「監査」とは異なり、行政指導と位置づけられている故、「行政手続法」に則って、あくまで保険医療機関の協力により行われ、行政指導に携わる者は相手方が従わなかったとしても不利益な取り扱いをしてはならないと定められている。行政の絶大な権力に対しその強権を行使しすぎることのないように一定の歯止めがかかっているのである。

彼の理路整然とした解説は用意されたレジュメのほか、保団連発行の「保険医のための審査、指導、監査対策―日常の留意点」も活用し繰り広げられた。上記出版物のP51「指導大綱による集団的個別指導と個別指導のチャート図」の解説では、点数が下がることが改善とされる指導の仕組みは、まるで「悪魔のサイクル」と憤言した。

また、溝辺裁判の勝訴により、厚労省は保険医療機関の指定取消という処分を行うに当たり、「不正請求」を行うにいたった動機等も考慮する必要があるとされた。つまり、厚労省の裁量にも限界があることを判決で明示したという点で画期的な意味合いを持つと高く評価した。保険外併用療法の項目では「51年通知」(いわゆる混合診療)の不合理性を論じるなど内容は多岐にわたった。

最後に、療養担当規則そのものには細かな規定がない。それは診療行為を一定の幅のある一連の行為の集合体として捉え、歯科医師の裁量をも最大限に尊重していると言えるからである。この点は大きなポイントであると締めくくった。

 

続いて、山本司歯科会員も周到に用意されたレジュメにより、主に指導現場における実際例を述べた。集団的個別指導の実施により経年的に平均点数が減少している現実をグラフで示したあと、指導現場における様々な指摘事項を提示したが、特に混合診療に関する事例、最近指導現場で頻繁に指摘される「歯科訪問診療」やSPTに関する具体的な事項に話が及ぶと、会場ではメモを取る会員も多く見られたようだ。

 

最終盤の意見交換の場では、参加者からのフロア発言や質問にも印象深いものが多かった。石川県では歯科訪問診療の算定要件として時間要件と医科の同月往診歴が条件とされていると聞くが、通院困難を歯科医師では判断できないということか?との質問には、工藤が療養担当規則の第12条に「・・歯科医師として診療の必要があると認められる疾病又は負傷に対し・・」とあるし、加えて2002年、2003年の事務連絡によりその要件は撤回され、通院困難であるか否かの判断はあくまで個々の症例に応じて歯科医師が判断するものと考えるのが妥当な解釈であると解説した。また、審査の段階では認めるが指導の場では否定されるというダブルスタンダードの横行は、指導に選定された時のストレスから会員に萎縮診療を促し、診療点数の低下へとつながるばかりか、結果として国民への医療提供に差し障りが生じることになると危惧する等の鋭い発言もあった。はじめての企画に多くの歯科会員の参加があったことはこの問題の関心の高さが伺われ、我々としても「協会ならではの切り口」でさらに継続開催する意欲が湧く結果となった。

二部の懇親会では、この歯科における理不尽な現状を是非とも地元選出国会議員に伝えて改善に結びつけて欲しいと、複数の会員から何ども強い要望を戴いたことを報告して終わりとします。

 

平田米里