【石川協会理事執筆の持論】 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

       行政手続法を遵守した個別指導を求める

 指導は、保険診療の質的向上と適正化を図ることを目的とし、保険診療の取り
扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを主眼とし、
懇切丁寧に行うと指導大綱にうたわれている。この「懇切丁寧」という文言は、
保険医が遵守すべき療養担当規則にもあり、その第一三条に。保険医は診療に当
っては懇切丁寧を旨とするよう規定されている。つまり、社保指導は本来われわ
れが患者さんに接するように行われるべきということである。
 また、行政手続法には、指導はそれを受ける側の任意の協力によってのみ実現
され、その行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取り扱いをしては
ならないと明記されている。
 しかるに、個別指導の現状はどうであろうか。現に高点数を理由とした選定が
行われ、カルテ記載の不備であっても、それを理由に最初から「自主返還」とい
う名の経済的不利益を求められる。これでは、医療費の抑制が目的であるとされ
ても、やむを得ないのではなかろうか。
 もちろん故意の架空請求などは論外であり、それは糾弾されて当然であるが、
「点数表の解釈」をすべて理解するのもまた至難の業である。診療の実態があっ
たにもかかわらず、事務上の過誤、診療報酬に対する認識の不足などをもって、
いきなり経済的不利益を求めることは、苛斂誅求といっても過言ではない。指摘
すべき事項を指摘し、改善を求め、まずはそれが履行されているかを検証するこ
とが、本来の個別指導であろう。
 さらには、直近の個別指導では、「概ね妥当」は激減し、「経過観察」および
「再指導」が増えている。その上、新規の医療機関に対する個別指導ですら、持
参カルテの分だけとはいえ、自主返還を求められている。従来は、指導の内容に
は地域差もあったが、今後は「公平性」の名のもとに、ますます厳しいものにな
っていく危惧もある。保険医を委縮させることは、国民が適正な医療を受けるこ
との妨げになるものであることを、いま一度強調しておきたい。