感染対策を保団連に求める




2008年7月19日 石川県保険医協会 副会長兼歯科部長 平田米里
歯科の院内感染対策に係る保団連への提案
医科医療機関における血糖値測定用器具の複数患者への使用問題に続き、 歯科においても今月5日、広島で、歯周炎への局所投与抗菌療法に使用するディスポーザブルの製品を 複数人に使用していたことが明らかになった。 マスコミでは現在のところ、上記器具の取り扱いを中心に取り上げているが、 その他の医療器具の使用方法についても問題が波及してくることは必至である。
とりわけ歯科診療は、抜歯や歯周外科などの観血処置のみならず、 通常のう食治療においても血液及び唾液に頻繁に接触する職種であり、 診療機器や術者を介した感染に高いリスクを抱えている環境にある。 したがって、歯科における院内感染対策は医科以上に喫緊の課題と言える。

一方、わが国の院内感染症対策には、国による明確な基準が定められていない。 個々の歯科医療機関は、改正医療法(2007年4月に施行)の指針に基づき、 独自に院内感染対策を実施している現状にある。 2003年12月に米国疾病管理予防センター(CDC)が「歯科臨床における院内感染予防ガイドライン」を発表したが、 これを採用するか否かについても、個々の歯科医療機関の判断に任せられている。
また、院内感染症対策の費用は診療報酬等で十分に担保されておらず、 ほぼ自己負担でまかなわれているため、感染症対策を徹底すればするほど医院経営が圧迫される状況でもある。
以上のことから、現在わが国で行われている院内感染対策は、個々の医療機関の裁量で行われていると言っても過言ではなく、 院内感染対策にばらつきがあることが推測される。 感染症の根絶が人類の悲願であることをふまえ(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律前文)、 すべての医療機関において有効な感染症対策が行われ、安全、安心の医療を提供することに寄与するため、 保団連に以下の事項を提案する。


一、院内感染症対策について議論する場を、保団連内に設置すること
一、会員の歯科医療機関を対象として、院内感染症対策に関する調査を実施すること
一、上記調査結果を基に、厚生労働省に対して院内感染症対策に係る政策提言または申し入れを行うこと 
                                以上

歯科における院内感染症対策に係る全国実態調査要綱(案)

一、調査の目的
歯科医療機関、とりわけ歯科診療所における院内感染対策の実態を検証するとともに、 更なる予防を徹底する場合には予算上の余裕があるのか否かを調査する。
この調査結果を基にして、厚生労働省に対し政策提言または申し入れを行う資料とする。

一、調査方法
調査対象:全国の保険医協会・医会の会員の歯科医療機関から無作為抽出
(診療所のみ。勤務医を除く。抽出率未定)
実施期間:未定
実施方法:無記名によるチェック式(一部記述式)
調査票の回収方法:各協会・医会を通じてFAX・郵送送付
調査企画:保団連(研究部、政策部、歯科理事会のいずれか)
調査費用負担:保団連

一、分析・報告・活用方法
保団連研究部、政策部、歯科理事会等のいずれかで調査結果を分析し、 その結果をもとに厚生労働省に政策提言または申し入れを行う。
調査結果及び政策提言または申し入れの内容については、 理事会、保団連歯科理事会、各協会・医会とその会員、マスコミ各社、 その他関連機関等に発表する。

歯科における院内感染症対策に係る全国実態調査
調査項目(素案)
  (A)〔基礎項目〕
(イ)居住する地域
  政令指定都市 
  中核市
  特例市
  上記以外の市
  特別区
  町
  村
(ロ)開業年数(単位 年)
   0〜5
   6〜10
   11〜15
   16〜20
   21〜25
   26〜30
   31以上
(ハ)借り入れ残高 
            0〜500万円未満
   500〜1000万円未満
   1000〜2000万円未満
   2000〜3000万円未満
   3000〜4000万円未満
   4000〜5000万円未満
   5000〜6000万円未満
   6000〜7000万円未満
7000万円以上

(ハの2)毎月のリース料とテナント料(単位 万円)
   0〜10
   11〜20
   21〜30
   31〜40
   41〜50
   51〜60
   61〜70
   71以上
(二)診療所の歯科医師数(単位 人)
 1
 2
 3
4以上
(ホ)歯科衛生士の人数(単位 人)
 0
 1
 2
 3
 4
 5
 6
 7
8以上
  (へ)一日の来院患者数
(診療所に複数の歯科医師がいる場合は歯科医師一人当たり) (単位 人)
0〜5
   6〜10
   11〜15
   16〜20
   21〜25
   26〜30
   31〜35
   36〜40
   41以上
(ト)年間の収入は
   0〜500万円未満
   500〜1000万円未満<>    1000〜2000万円未満
   2000〜3000万円未満
   3000〜4000万円未満
   4000〜5000万円未満
   5000〜6000万円未満
   6000〜7000万円未満
7000万円以上

   (B)〔具体的感染対策項目〕
 (イ)室内環境対策
  @外部吸引機の設置に関して(参考資料1)
    設置は必須と思う・すでに導入している
    設置は必須と思う・設置を予定している
    設置は必要と思うが、現実的には困難
    設置の必要は無い
     A空気清浄機の設置に関して
    設置は必須と思う・すでに導入している
    設置は必須と思う・導入を予定している
    設置は必要と思うが、現実的には困難
    設置の必要は無い
    (ロ)ユニット周辺機器の感染対策 (参考資料2)
(全ての患者さん毎に滅菌交換すると仮定して)
@タービンは、後何本ほどの補充が必要ですか? (単位 本)
   0〜5
   6〜10
   11〜15
   16〜20
   21〜25
   26〜30
   31以上
A 電気エンジン(5倍速・等速・減速を含む)は、後何本くらい補充が必要ですか? (単位 本)
   0〜5
   6〜10
   11〜15
   16〜20
   21〜25
   26〜30
   31〜40
   41〜50
   51本以上
B超音波スケーラーの取替可能な柄や刃は、後何セットの補充が必要ですか?(単位 セット)
   0〜5
   6〜10
   11〜15
   16〜20
   21〜25
   26〜30
   31セット以上
C光重合器のヘッド部分に関しては、全ての患者さん毎に滅菌交換が必要と思いますか?
    思う
    薬液消毒でよい
    滅菌は必要と思うが、現実的には困難
    特に必要と思わない
    その他
   C−2 Cで「思う」と答えた場合、後何本の補充が必要ですか? (単位 本)
    0
    1〜3
    4〜6
    7以上
D滅菌機は後何台補充が必要ですか? (単位 台)
  0
  1
  2
3以上
    E人材に関しては、さらに何人補充が必要ですか?(単位 人)
  0
  1
2以上
   (ハ)治療機器の先端部分(バー・リーマー)について(参考資料3)
   全ての患者さん毎に滅菌交換が必要と思いますか?
   思う
    薬液消毒でよい
    滅菌は必要と思うが、現実的には困難
    特に必要と思わない
    その他
    (ニ)また、以下のインスツルメントに関して、全ての患者さん毎に交換が必要とすれば、
一年間分の費用として、あとどの程度の補充が必要ですか?(参考資料3を参照)
@ 根幹治療のインスツロメンント
(     )万円
A 切削用のタービン用バー
   (     )万円
  B 切削用の電気エンジン用バー
     (     )万円 
C義歯・冠などに使用する電気エンジン用バー
     (      )万円 
Dバキューム用のチップと柄(ホルダー)
  (      )万円
Eシリンジの先端部分(1年間の推定値)

@〜Eまでの合計・・・・・a=(     )万円
     (ホ)一人ずつの使い捨て消耗材は一人当たりの単価が直接計算できます。(参考資料4)
  各歯科医院で使用状況は異なると思います。実際に使用している項目を拾い上げてご記入ください。
Fエプロン・紙コップ・マスク・グローブ
 一人当たり (      )円
Gビタペックスなどの先端チップ
    一回あたり(      )円
FとGの合計 b=(       )円
 (C)〔今後の感染対策費用〕
(イ)「患者ごとに滅菌交換をするという感染対策」を実施するとして 、一時に一括してハンドピースなどの診療機器を補充するとすれば、どれほどの予算が必要でしょうか?
(参考資料として、各種の機器の定価を掲載します。参考資料2参照)
   c=(        )万円
(ロ)昨年一年間の述べ患者数をご記入ください。(07年1月から12月まで)
   d=(      )人
(ハ)患者さん一人当たりに要する感染対策費用を算出するために、
A=小物インストルメント費用=a円/d人=(     )円 
B=使い捨て消耗材=b円/d人=(     )円
ハンドピースなどの耐用年数を5年とすれば、
C=c/(d×5)=(      )円・・・単位に注意
一人当たりに要する滅菌パックの枚数を2枚とすれば、(参考資料5)
D=(    )円

一人当たりに要する感染対策費用は、外部吸引装置(参考資料1)の費用を除いても
E=A+B+C+D= (      )円となる

==========================================
参考資料1 
製品N0 商   品   名 規  格 数量 定   価 実 売 価 1枚、1個単価
16 滅菌器 各社平均 1   300,000
  17 口腔外バキューム フリーアーム 工事費込 吸引口数4本 1 3,200,000 2,500,000
  18 移動式義歯調整用バキューム   1 170,000 140,000

参考資料2 
製品N0 商   品   名 規  格 数量 定   価 実 売 価 1枚、1個単価
11 タービン   各社平均 1   98,000
  12 等速コントラ   各社平均 1   80,000  
13 ストレートハンドピース   各社平均 1   65,000
  14 スプラソンP-MAX ハンドピース     1 62,000 48,000
  15 ユニット3WAYシリンジノズル   各社平均 1   11,300 1130円/個
19 スプラソンP-MAXチップ   ペリオチップ 1 9,000 7,200
  20 プチピエゾハンドピース     1 65,000 50,000
  21 光重合器ライトガイド   各社平均 1   15,000

参考資料3
  製品N0 商   品   名 規  格 数量 定   価 実 売 価 1枚、1個単価 22 ダイヤモンドバー   FG 1本 1 1,500 750 750円/本
23 カーバイトバー   FG 10本入 1 3,000 1,500 150円/本
24 カーボランダムP   12本入 1 1,450 1,150 95.8円/本
25 シリコンP   12本入 1 1,750 1,400 117円/本
26 スチールバーCA、HP   6本入 1 730 580 96.7円/本
27 技工用カーバイトバー   1本 1 3,200 2,400
  28 リーマ、ファイル   6本入 #15〜40 1 2,440 950 158円/本
29 リーマ、ファイル   6本入 #45〜80 1 2,920 1,200 200円/本

参考資料4 
製品N0 商   品   名 規  格 数量 定   価 実 売 価 1枚、1個単価
4 ディスポマスク 50枚入り 1 1,000 500 10円/枚
5 ディスポグローブ ラテックス、100枚 1 1,400 600 0.6円/枚
6 ディスポエプロン   500枚入り 1 3,500 2,000 4円/枚
7 紙カップ   3000個 1 9,000 5,500 1.8円/枚
8 ビタペックス用先端チップ 20個 1 2,000 1,600 80円/個
9 カルシペックスU用先端チップ 20個 1 900 720 36円/個
10 カルシペックスU用先端チップ 100個 1 3,500 2,800 28円/個

参考資料(5)
製品N0 商   品   名 規  格 数量 定   価 実 売 価 1枚、1個単価
1 滅菌パック 200枚入り M 75mm 1 2,700 2,160 10.8円/枚
2 滅菌パック 200枚入り L 100mm 1 3,600 2,880 14.4円/枚
3 滅菌パック 200枚入り LL 150mm 1 5,000 4,000 20円/枚

(参考資料提供)株式会社 浅野歯科産業 金沢支店










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