補綴外しへの抗議声明




抗議声明

日本歯科医学会長の「補綴の保険外し」発言に抗議する。

高齢の患者さんに、 「もしも入れ歯が保険からはずされて、自費になったら?」と尋ねたところ、 「 わしに、ものを食べるなということか。」と即応された。
報道によれば、日本歯科医学会江藤一洋会長は、 7月12、13日に開催された日本歯科医療管理学会学術大会の「 歯科再生の道をさぐる」と題した講演で、補綴を保険給付から除外しない限り、 歯科医療費の総枠を拡大することは難しいのではないかとの趣旨の発言を行った。
歯科医療費のおおよそ半分を占める補綴(冠や義歯)を保険給付から外し、 その分を歯周病や虫歯治療等に充てれば、 綴以外の診療項目は点数の大幅な増加が期待できる。
同時に、その「大幅な増加」 にも制限を加えれば、国の負担を削減することもでき、 社会保障費の削減政策に沿ったものと政府・厚生労働省からも歓迎される。
また、補綴部門が自費となれば、その自費分が歯科医療費の総枠増加に結びつき、 歯科界を潤し、困窮を深める歯科医院経営の改善につながる。
これが究極の「歯科再生の道」 であると江藤会長は考えたのかもしれない。

しかし、補綴が保険給付から外された場合、高額な自費負担となる「補綴」を前提として、 患者さんと系統的な診療計画を進めることが可能だろうか。
例えば、これまでは根の消毒治療を保険で治療し、 その後の奥歯の金属冠を約3000円ほどで入れることができた。 しかし補綴が自費扱いとなれば、保険点数を準用したとしても1万円以上 (場合によってはこの数倍の設定もあり得る)の負担となってしまう。
したがって、現実的には、一部の経済力のある患者さんを除き、 治療計画を作成した段階や、治療の途中で断念する患者さんが多くなるのではないだろうか。 それは、最終的に患者さんの健康を損なうことにならないだろうか。 結末は見るまでもなく、国民にも歯科医にも不幸をもたらすだけといわざるを得ない。

格差社会・貧困・ワーキンブプアの問題が叫ばれている日本で、 この負担増を多くの国民は容認できるとは思えない。 補綴の保険外しよりも、保険で治療可能な範囲を広げ、 患者の負担を軽減する方策こそが国民の望みであり、国の責務である。

石川県保険医協会歯科部は、 国民皆保険制度の後退につながる江藤氏の発言に断固として抗議するともに、 会長の罷免を求める。

2008年9月12日
石川県保険医協会
歯科部長 平田米里










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