保険外併用療養費にみる現物給付崩壊の企図




保険外併用療養費にみる現物給付崩壊の企図
: 2006年9月26日 12:10

2006.9.15神奈川県保険医新聞

巧妙な制限回数超の医療行為へのすり替え  この「医療行為等の選択に係わるもの」に組み入れられた特定療養費の項目は暗示的でもある。ここには、@制限回数超医療、A歯科の前歯材料、B歯科のう蝕予防(C特療)が入った。

 先述のレセプトへの記載は、自費料金の価格統制に厚労省が乗り出したことを意味する。今回、汎用性は少ないが歯科の材料がここに類別されたということは、いずれメタルポンドをはじめとする欠損・補綴の材料がここに入り、厚労省の価格統制下に置かれることを意味している。

 また、予防がここに分類されたことも意味深長である。08年4月より生活習慣病の保健指導は企業に外部委託できるようになる。循環器系疾患で治療中の患者に健診で糖尿病のリスクファクターが発見された場合など、通院中も例外ではない。10兆円を占める生活習慣病医療費の削減策の一貫だが、生活習慣病は自己責任、生活行動の改善ができない患者が問題とし、予防・保健事業を混合診療化することも射程に入ってくる。現在の生活習慣病管理料を療養費化し、低い金額で患者に支給し、企業が集活習慣病を完全に医療機行動変容がキーワードとされているだけに、現実味は高い。

 以上のように、現段階での保険外併用療養費は旧来のものをパズル的に組み込み整理しただけで、本格的な展開はこれからである。医療技術についての混合診療の対象は慎重な審査がされてきてはいるが、確実に混合診療の対象技術は増えている。今年度の医科の保険導入は50技術もなされたのである。歯科においては、汎用技術の保険導入は例外にすぎず、混合診療の医療技術の申請が進んでおり、混合診療容認の「湘南宣言」と合わせて考えると、脱保険の危険な兆候も見える。

 また、ブランド医薬品の混合診療、日本型参照価格制(薬剤給付基準額制度)をゾロ品メーカーの医薬工業協会が提案するなどの動きも出始めてもいる。

 かつて歯科の差額時代には、保険と自費の差額分が患者に不明で法外な請求が横行し、国会で問題になるほどの混乱と悪徳歯科医キャンペーンが連日マスコミで展開された。この苦い経験を教訓にし、この10月から保険外併用療養の実施と同時に区分領収証の義務化となる。区分領収証の保険と保険外の料金が明示されており、ここが領収証発行の真の狙いといえる。

 これらの動きは、療養費化の促進へと収斂し、「療養の給付」を空洞化、形骸化し、医療の商品化へと連動していく。ここが、保険外併用療養の最大の問題であり、単なる特定療養費の拡大とは大きく異なる点である。しかも、特定療養費は大臣告示で特定項目を逐次設定していたのとは違い、より広い分野別であり官僚の中医協で追加が次々とできる、いわば官僚の裁量の下にある点が決定的に違うのである。








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