医療崩壊と消費税論議  upしなくても、財源はある




宮田先生夏季セミナー報告記事 
歯科部員 宮田英利
石川県保険医協会 機関紙原稿
夏季セミナー講座1は、日本金融財政研究所長・菊池英博氏から 「日本の医療システムがなぜ崩壊に瀕しているのか、どうすべきか、 −財源問題、消費税問題を考えるー」の講演があった。
アメリカのように最高のコストをかけているが、非効率な市場原理医療とは違い、 WHOも認める最低のコストで世界一の診療を提供する 日本の医療システムが現在崩壊の危機に瀕している.
もともとは、アメリカの対日年次要望書で出された、 混合診療の認可と政府の医療支出の削減要求がその発端の一つである。
政府の医療支出を減らし自己負担の増加で、外資の日本の民間医療保険参入のチャンスを 与えたいというアメリカの思惑があるということである。
2006年6月の「医療改革法」で政府が保険者としての地位を放棄し (いわゆる国民皆保険制度の放棄)、後期高齢者医療制度・政府管掌保険制度の公法人化によって、 その度合いがより加速しつつあり、 本格的には2008年10月に真の医療危機が始まる。
医療費の増加が財政赤字の原因ではなく、構造改革の失敗で税収が激減、 そのツケが医療費圧縮に回っているという指摘があった。

今後の医療崩壊を抑えるためには先にあげた「医療制度改革法」を凍結し、 消費税アップではない税収を増加させる財政政策が必要であり 、混合診療を認可しないと言うことである。
日本経済の現状は、あまりに「小さい政府(財政規模が小さい)」であり、 緊縮財政を強行したために経済が活性化せず財政危機を招いているのである。

当面の医師不足対策には看護士や職員の増員が望まれる。 日本の医療費GDP比率は8%であり、OECDの平均9%より1%(5兆円)少ない、 これらの資金は金融資産を活用すれば増税なしで調達可能である。
日本は財政危機ではないという証拠であるが、 財務省が発表した「国民一人当たりの債務=660万円」は「粗債務」だけの話であり、 政府が保有している金融資産を考慮していない。 2007年12月末現在政府の「粗債務」は838兆円、金融資産は推計560兆円あり、 差し引いた純債務は278兆円に過ぎない。 これは国民一人当たり219万円の「純債務」ということになる。 これは名目GDP比で52%程度であって、 ユーロ地域並みの債務であり先進国中でも過剰な債務とはいえない。 海外諸国が「日本は財政危機ではない」と言っている根拠はここにあるが、 なぜか政府は日本国民にこの真実を教えずに国民一人当たり660万円の債務があると言って 不安感を煽り、意味のない構造改革を推し進めようとしている。
実際、小泉構造改革以来、日本の経済力は減退の一途をたどっている。

過去、橋本内閣が97年に消費税を3%から5%にアップし、社会保障の国民増加、 所得税減税廃止などの緊縮財政をしいたとき、アメリカのゴア副大統領が来日し、 日本は健全な財務体質であるのに緊縮財政を取るべきではない、 内需を喚起するべきである」との忠告があったのに、 政府は無視したために当時株価の大暴落を招くなどの「平成金融恐慌」を招いた。
大切なのは緊縮財政をしいて経済を減退させるのではなく、 積極財政で経済を活性化させることである。
また、単純に財源として考えれば、現存する財源ではいわゆる「埋蔵金」 といわれる特別会計に内包する財源や、国民の積立金(社会保障基金・外貨準備)、 国民の預貯金などもある。

いい例がアメリカのクリントン大統領の政策である。
クリントン大統領が就任した1993年当初はブッシュ(父) 元大統領の増税政策で経済情勢がデフレ気味であった。 クリントン大統領は当時のアメリカが債務国であったにもかかわらず、 財政支出を削減せず景気振興策による税収の増加を目標にした政策を実施し経済を活性化し、 5年後の1998年に財政は黒字に転換したといういい例がある。 一方の日本は2001年度からの小泉内閣が緊縮財政政策をとり、 投資関係支出・地方交付税交付金・地方補助金・社会保障費の削減によって景気は後退し 税収が激減し純債務のGDP比率が悪化するなど、「小泉構造改革」 がいかに間違った政策であるかとの指摘がされた。

先にあげたように、橋本内閣の政策が金融恐慌を引き起こしたが、 その後の小渕内閣が「財政改革を凍結」して公共投資を増やし税収をアップし 一旦経済は回復したが、小泉内閣がまた「構造改革」の名の下に緊縮財政を実施したために、 経済を疲弊させ(経済停滞→マイナス成長→税収減少→緊縮財政→ 投資関連支出停滞→緊縮財政継続→経済低迷・税収減・増税・歳出削減・格差拡大・・・ という悪魔の縮小不均衡)、また税収の激減を招いたのである。
日本は構造改革の悪夢から覚めて、公共投資の投資対象を広げ医療をはじめとする 「社会的共通資本」の形成に尽力すべきである。
大切なのは経済規模の拡大であり、債務はあってもよいが、 それを上回る名目GDPの成長であると断言された。

最後に、医療費の抑制は全く必要なく医療費の伸びに対しては経済規模の拡大による 税収増加で充分可能であり、そのための消費税アップは全く必要でないと断言された。
世界に冠たる日本医療のよさ、崩壊に瀕した日本の医療を広く国民に伝え、 国民一人一人が社会的行動を起こせば、我々の力で政策危機は克服できるであろうと結ばれた。










このホームページの著作権は平田歯科医院に帰属します。
Copyright (c) 2002 Dental hospital HIRATA. All rights reserved.