今後の論点整理 歯科医師過剰 混合診療など




混合診療
戯言を一つ・・08年8月

○○先生担当の来月号持論では、政府が医師の増員に向けて動き出したことが論議の それとは逆行するかのように、 今日(08年6月19日)新聞報道では歯科医数の削減の方向が論議されると報じられた。
見出しを見て、真っ先に頭に浮かんだのは、 「医師数の増加で生じる医療費の増加を歯科医師数の削減で帳尻を合わせる策」 を採ったのか・・・というものであった。
医療費総枠を増やさずに、国民の関心の高い医科分野の解消を図る? (可能とは信じていない)には、うまい方法を思いついたものだ。 敵ながら天晴れ?というものだった。
日経新聞によると、 厚生労働省は「今後の歯科保健医療のあり方検討会」を09年度に設置し、 多すぎると指摘のある歯科医指数の需給バランスを改善する方策について検討する方針 を決めたそうだ。
個人的偏見だが、「過剰」の判断基準は歯科医院の経営が特に都市部で困難になったから・ ・が主なものだろう。
決して、全国津々浦々、国民の歯科疾患状況が 良好になったということではないと思う。

そもそも、一体どの基準、どの要素を採用して「歯科医師数が過剰か否か」 を決めるのであろうか。
考えられるものをいくつか挙げると・・・・、
@国民の歯科疾患レベルが改善したため。・・・・・ これまでの歯科治療や予防策が効果を発揮したいうことか。 その傾向は否定しないが、トテモ十分とは信じがたい。
A国民の歯科疾患レベルには変化はないが、 一歯科医院あたりでみると、受診患者数が減少し歯科医院の経営が貧窮してきたため。 ・・・・・・景気の後退により、窓口負担が払える国民の絶対数が減少したため、 結果的に受診者減少となったのなら、 今後はさらなる不景気の到来により、ますます拍車がかかることになり、 最終的にはますます歯科医師過剰現象が起きることになる。
医学的な健康や憲法のいう健康とは全く次元の異なる基準ということになろうか。 毎年変わる基準という意味で、基準になりえないと思うのだが・・。
しかし、正論として表に登場しにくい「心情的なところ」 を上手に突いたなぁ・・。
B全国的に、歯科領域では患者のフリーアクセスを十分保障できる体制ができたため。 ・・・・・・これも、都市部では、歯科医師過剰とされているが、 郡部、離島地域などでは未だに不十分と思える。
医師に限らず、歯科医師でも偏在は昔からある。 いまだに日本中が平等になったという話は聞いたことがない。
まあ、昔々のように、能登島から七尾市の○○歯科医院に通うには、 能登島から朝一番のポンポン蒸気船に乗って、帰りは夕方になる・・・ というようなケースは少なくなったでしょうが・・・。
C単純に、数学的に総人口を総歯科医師数で割った値が先進諸国と比べて小さいため。
制度や社会保障レベル、そして医療費などが違いすぎて、 これが最大の要因になることはないと思うのだが・・。

政府の真の狙いは、どう考えても、医療費削減に果たす波及的効果であろう。
つまり、医師数にしろ、歯科医師数にしろ、 削減したところで効果が現れるのはずいぶん先の話で、 歯科医療費の総枠削減につながる政策を打ち出すことで、 我々の反応を見ようとしているのではないかと思うのである。
それなら、歯科界としても黙って見過ごす訳にはいかない。
どう対応するかである。
この歯科医師数削減の政策が通れば、多分、この次に出される政策は、・・・・ この治療の保険請求ができるのは、この研修を終了したものに限るなどという 「縛り」であろう。歯科医師数の削減よりも即効性も高く、応用範囲も広いと思われるので、 今後はこの方向に政府は舵を切ってくるのではないかと思うのだが・・・・。
今のうちから、アンテナを高くして警戒しておきたい。
混合診療・評価療養・選定療養を推進する、「湘南宣言」派もまだ生きている

○○です。
平田先生が引用されている日経新聞に記載がありますとおり、来年度、厚労省は 「歯科保健医療のあり方検討会」を設置することにしています。
先日明らかになっ た来年度予算の概算要求の中にも、明確に位置づけられています。
検討会においては、歯科医師需給問題が一つの大きなテーマになることは間違い ありませんが、(日経新聞には出ていませんが)それ以外にも、例えば、
@歯周病と糖尿病、口腔ケアと誤嚥性肺炎など、口腔の病気と全身の病気の関連 性についての新しいデータを集約し、新しい医療施策を検討する
A歯科衛生士と歯科技工士について、技術向上と人材定着促進により、歯科保健 医療の向上を目指す

などのテーマが報道等なされています。
「歯科保健医療のあり方」という大きなテーマで議論が進められることから、今 後の歯科医療政策に多大な影響を及ぼすことは間違いありません。必要な資料等 のリクエストをしていただければ、できる限り情報収集していきたいと考えてい ます。

以下は、まったくの私見です(というか月並みな論点整理です)
厚労省側は、この間の検討会等の議論において、単純に言えば「歯科医師数が増 えているにも係らず、しかし診療所の患者数は全体として横ばい傾向にある」と いう理屈で「過剰」としているわけですが、それに反論するには、「患者数の横 ばい傾向」そのものを問題視するという方向が基本になると思われます。

ひとつは、歯科保険医療へのアクセスを阻害する要因があり、患者にとって必要 な歯科医療がまだまた提供できていないのではないかという視点です。
この観点 からは、患者負担の問題や在宅歯科医療の基盤整備などが論点となると思われま す。

もうひとつは、歯科においてはそもそも保険診療の範囲が狭すぎるのではないか という問題です。
歯科疾患の予防から口腔管理、そしてそれらを通じた健康増進 が、一連のものとしてきちんと診療報酬に反映されているのかという観点から (現場から声をあげれば)、歯科医療の「需要」について根本的な提起をすると いうことです。

また、インプラントや審美修復などの「需要」は、 (皮肉にも)今後ますます高 まっていく中で、歯科における保険診療の範囲をどこで線引きするのかという問 題も避けて通れません。
その意味では、混合診療の導入に徹底して反対しつつ、 保険導入への過渡的な制度として保険外併用療養費の「評価療養」をどう活用し ていくか(あるいは保険外併用療養費制度そのものが本当に「活用」できるもの なのか)を検討するという観点も必要となります(平田先生も取り上げていらっ しゃる「湘南宣言」に理論的に対抗していくという視点です)。
この前の講演会 のテーマとなったGTR法がどのような道筋を経て保険外併用療養費に位置づけら れたのかという点が(個人的にはこの観点からみて)興味深いところです。

要は、「必要な歯科医療が患者さんに提供できていないシステムそのものに手を 入れずして、歯科医師過剰などと安易に言ってくれるな」という主張をしていか なければならないと、(非常に月並みですが)考えているところです。

最後に、現時点における厚労省側の「歯科医師過剰論」の根拠(?)となる資料 を紹介しておきます。
(以下○○による要約です。資料そのものは下記のURLにて公表されています)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/s1208-9.html
歯科医師の需給に関する厚労省の基本的考え方
(2006年12月 今後の歯科保健医 療と歯科医師の資質向上等に関する検討会中間報告書 厚労省医政局歯科保健課)
1 歯科医師の需要と供給
○歯科診療所の患者数は、全体として横ばい傾向にある。
○歯科診療所の年齢階級別受療率は、医科の傾向とは大きく異なり、後期高齢者 において大きな低下がみられる。
現状の受診動向が継続すると仮定すれば、総人 口の減少、特に75歳未満人口の減少に伴い、長期的には歯科診療所を受診する 患者総数は減少していくと予測される。
○この10年間、歯科医師数は毎年平均1500人程度のペースで増加している。患者 数が横ばい傾向にあるので、歯科医師の過剰感が強まっている。
○2005年度の厚生労働科学研究「新たな歯科医療需要等の予測に関する研究」に よると、2025年には、約11000人の供給過剰に達すると推計されている。

2 歯科医師過剰による弊害
○歯科医師の過剰は専門職としての魅力を低下させ、歯学部入学者の質の低下を 招く。同時に、臨床実習及び臨床研修における患者の確保が困難となり、二重に 質の低下を引き起こす。
○勤務医として長期間従事することは困難な状況であり、技術的に未熟な歯科医 師が開業する。
○その結果、患者が期待する歯科医師の水準と提供される歯科医療との水準が乖 離し、患者の満足度が低下する。

3 今後の方針
○現時点で歯科医師数の伸びをゼロとし、新規参入歯科医師の9割が稼動すると 仮定すると、新規参入歯科医師数を約1200人程度とする必要がある
。これは、 2006年度の歯学部募集定員、歯科医師国家試験合格者数のいずれに対しても45% に相当する。
○歯科医師養成数の削減は、歯学部定員削減と歯科医師国家試験合格基準との方 策によらざるをえない。
○今後の入学定員の削減について、少なくとも1998年度の検討会提言の削減数 (10%)の早期実現に向けて、各大学の自主的かつ前向きな取り組みが大いに 期待される。
○歯科医師国家試験に関しては、資質向上の観点から合格基準の引き上げや出題 内容等について幅広く検討を行うべきである。
以上、引用終わり











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