堤 未果  貧困大陸アメリカ




08年 、保団連、夏期セミナーで聞いた堤未果氏の「貧困大国アメリカ」の話は、衝撃的でした。
以下、週刊文春の記事がありましたので、ご紹介致します。
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著者は語る
日本の現状に警鐘を鳴らす、知られざるアメリカの現実
堤未果
 『ルポ 貧困大国アメリカ』
 「自由と民主主義のアメリカを夢見て大学時代に留学もしていた私は、9・11 以降、急速に全体主義になっていくアメリカ社会を見てショックを受けたんです」  WTC(ワールドトレードセンター)の隣のビルで勤務中に9・11に遭遇した堤未 果さんは、その後ジャーナリストとして一貫してアメリカの変化を見つめてきた。
そ して、イラク戦争が始まり、国からのリクルートによって息子を軍に入隊させられた 一人の女性に出会ったことで、本書のテーマである“アメリカの貧困”に目を向ける ようになった。
 「国民の個人情報が政府に握られ、命や安全に関わる国の中枢機能は民営化され、 社会保障費は削減された。イラク戦争に向けて、急激にアメリカは変化していったん です。当時は『愛国心』の名の下にイラクと戦っていると報道によって思わされてい たけれど、結果として戦争に行かされたのは、その中で生み出された貧困層の人たち だったんです」

 高い医療費のため、一度の病気で破産へ追い込まれる中間層の人たち。 貧困者リス トを元に、国が個人情報を通じて高校生を軍ヘリクルートしている現実。 ノルマをこなせなければ前線に送られるため、勧誘に必死になるリクルーターたち。 急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。アメリカの貧困の現実、そし て貧困層が一見民主的な方法で「戦争」へ組み込まれていく事実が、本書では明らか にされている。

 「私は最初、自分はアメリカの戦争の取材をしているのだと思っていました。
でも 次第に、アメリカ一国に起きている現実を見ることで、世界に通じる一つの流れ、つ まり新自由主義の流れを追っていることに気がついたんです。
市場原理主義における “戦争”とは、貧困層を利用しながら最も効率よく利益を生み出すビジネスなんです ね。
だから“貧困”は今何が起きているのかを見るためにわかりやすい切り口になる し、何が貧困をもたらしたのかを見ることがとても大切です」
 小泉政権下では郵政民営化が推し進められ、教育に競争原理が導入され、社会保障 費は次々にカットされていった。アメリカで起きた出来事をきれいにトレースしてい る日本に、堤さんは警鐘を鳴らすと同時に、進むべき道筋を提示する。

 「まずは今、何が起きているかを知ってベクトルを変えることが必要です。アメリ カではある高校生が、若者が軍にスカウトされている実態をネットを通じて発信した ことで、その州の軍のリクルート制度の一つを廃止させた。ネットと行動を通じて、 現実を変えることができたんです。
そして憲法を武器にすることも大切です。不当な 労働に対しては、生存権を盾に憲法違反を主張できる。
幸いにして、アメリカは私達 に、そのまま行くとこうなるよという例を示してくれている。気づいた時に立ち上が る体力がまだ日本には残っている。だから手の中にある武器に気づいてほしいのです」

 武器の一つは、企業に買収されてアメリカが見失ってしまった“メディア”のあり 方だという。
「メディアは事後報告だけではなく、この国がどの方向へ行こうとしているのかを示 していく必要があると思います。その中でも、一拍置いて考えられる活字文化は重要 です。活字文化をテレビ文化に上書きされたアメリカの後を追わないようにしないと いけない。そしてまた、メディアを育て直すことは私達の責任でもあるのです」

つつみみか/東京都生まれ。ジャーナリスト。
 2006年より、朝日ニュースター「ニュースの深層」のサブキャスターを務める。
著書に「グラウンド・ゼロがくれた希望」「報道が救えてくれないアメリカ弱者革命 −なぜあの国にまだ希望があるのか」など。
『ルポ 貧困大国アメリカ』
 貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく アメリカ。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。そして、格差社 会化の流れに抵抗する人々の「新しい戦略」が見えてくる。
                           岩波新書 700円+税

              憲法九条メッセージプロジェクトが アメリカから招きます!
8月6日〜9月14日(日本滞在期間)
●イラク帰還米兵・アッシュ・ウールソン君(26歳)
「戦争は もういやだ! 僕らは 使い捨ての兵隊だった…」
「僕らが イラクで目撃したものは…… 悲惨な殺戮と、天使みたいな子どもたち…」
「わが米軍は、イラクの人たちに謝罪し、今すぐ撤兵すべきだ」
「貧困という名の徴兵制」
「アメリカに拡がる深刻な貧困生活を知ってください!」
「大学の月謝を払うには、軍隊に入るしかなかったんだ」
「日本国憲法は、僕らにとっても希望の星。9条の灯を消さないで!」……
http://www.k3.dion.ne.jp/~k-9mp/ash.annai.pdf


石川県保険医協会・機関紙原稿(途中)橋爪真奈美・記
 7月12、13日の二日間にわたり、 東京・虎ノ門パストラルにおいて保団連第38回夏季セミナーが開催された。

 初日の全体会議では、住江保団連会長の挨拶、副会長の山上紘志氏の基調提案 (「医療崩壊から医療再生へ −公民的な共同で医療制度の改善運動を−」、 そして、ジャーナリスト・堤未果氏による記念講演(「貧困大国アメリカの現実と変革の流れ −医療、教育、戦争まで『民営化』−」)というプログラムであった。

 基調提案では、全国に広がる医療崩壊、貧困・格差の拡大状況、 臨調行革路線によって進められてきた医療構造改革 についての振り返り等を行った。
その上で、日本の医療再生のためには、とりわけ憲法第9条・25条を基盤とした 平和的生存権の確立、社会保障の充実を求める運動の強化が 不可欠であることを再確認した。

 記念講演は、
堤氏の著書「ルポ貧困大国アメリカ」(岩波新書2008)の内容をベースとしたお話しであった。 格差・貧困の対象が拡大。従来から存在していた 「人種・女性・障害をもつ人、マイノリティ」から、「経済格差」 (いわゆる中流階級層にある人たちが病気等をきかっけに貧困層に転落する事例が増発)へ。
その原因は、 「教育」「いのち」「暮らし」という、国民に責任を負うべき政府の主要業務が「民営化」され、 市場原理主義の流れに 呑み込まれてしまったから。貧困層にいる人たちは、 「人」ではなく、生存権と引き換えに入隊し、海の向こうで戦争 してくれる単なる「商品」。
 しかし、今、少しずつ国民の意識がかわってきた。
PTSDの後遺症を持った兵士たち、イラクに派兵された息子を もつ母親たちが、真実を訴えはじめている。 敵は、イラクでもホワイトハウスでも大企業でもない、無知と無関心 だった自分自身であると。 国民は、憲法を学び、選挙投票や不当な税金は支払わないという小さな運動を積み重ねている。
憲法をとおして、今の社会を検証する。 情緒的(怒り・対立)ではなく、相手(悪)を評価・育てるという賢い戦略方法だ。
大切なことは、自分ひとりの思いでは何も変わらない(変えられない)とあきらめないこと。 子どもたちは、そんな大人たち の姿勢を見て絶望してしまう。あきらめずに種を蒔き続けることは、必ず希望につながるであろうと、力強いことばで 講演を締めくくられた。










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