開かれたフロリデーションの実現へ 小林清吾先生から




開けたフロリデーション実現への道
小林 清吾

 京都山科など過去に3度の経験があるものの、 1970年前後に中止されたままとなっていた水道水フッ化物濃度適正化 (フロリデーション)が、今日、現実的な目標となった。 
先に、沖縄県具志川村(久米島)ではフロリデーションの実施に向け、 国へ技術支援要請を行い、地域合意の積極的な取り組みが行われてきた。
これに厚生科学研究班が中心となり学術的支援が行われてきた。
4月、二村が合併し、新生した久米島町議会にフロリデーション特別委員会が設置される予定。
このような、地域を単位とした健康優先の住民運動が全国各地に広がってゆくものと 期待される。
フロリデーションに関する科学情報はWHO等の国際医学専門機関によって強化整理され、 その実施が繰り返し推奨されてきた。
しかし、インターネット記事やマスコミ情報など、 査読なしで公表されるものも含め、誤った反対論が氾濫している。
学会員からも、政治的に困難が大きいので日本での実施は「無理」、との諦めの声を聞く。
 そのような背景は引き続いてゆくだろうが、 数年前、フロリデーション「無理」論の厚い壁をこじ開けた人達がいた。
本学会員で、長崎、群馬、宮崎、富山、島根をはじめとした全国各地の開業歯科医達である。
彼らは、住民に対する知識の普及をいたるところで実践した。
知っている事を知らせない専門家の責任を強く追求した。 専門機関の推奨を待つよりも、地域の意思で実施要望の声を上げ、 地域の力で実現することを目指した。
そのような活動がマスコミの関心を呼び、社会的な話題にもなった。
その結果、全国各地で自主的なフロリデーション実施に向けての活動が生まれた。
その活動の中心になった人が故山下文夫先生。
彼の献身的なむし歯予防運動は約20年にわたり、2000年、 米国公衆歯科衛生学会(AAPHD)より特別功労賞が授与された。
学会員の皆様とともに深く敬意を表したい。
 フロリデーションに関し、今なお、学会員の中にもいろいろな意見がある。
学会見解の案作りに際し、改めて話合いの機会が増えてきた。
例えば、1) 個人の選択が認められない方法には反対、という意見がある。
しかし、実施賛成の住民も反対の住民と同じ権利を持っている。 実施反対の人にF調整水道水を一緒に利用してもらったとしても、 実際にその人に強いていることはといえば、むし歯リスクの軽減だけである。
一方、実施に賛成の人が非F水道水を飲用している場合、 その人が強いられていることはむし歯リスクの高い環境である。
どちらが人権や健康権に触れることになるのか、自明である。
また、2) 住民にはフロリデーションを実施したいという要望がないので、 すなわち「民意」がないので私は薦めない、という意見もある。
フロリデーションについての「本当の民意」とは、専門家がどう考えているかを示して欲しい、 という要望と考えるべきではなかろうか。
公衆衛生事業の実現、特にその普及には、 一方で行政や医学保健専門機関の支援基盤が不可欠である。
1999年、日本歯科医学会は「フッ化物利用による総合的な見解」を公表し、 フロリデーションを優れた地域保健施策として位置付けた。
また、2000年、厚生省(現厚生労働省)による “地域からの要請があればフロリデーション実施の技術支援応援をする”、と表明した。
さらにこの声明に呼応し、日本歯科医師会は、地域合意を尊重し、 厚生省見解を支持すると発表した。
そして昨年、日本口腔衛生学会は名古屋シンポジュームの座長まとめ宣言で、 フロリデーション推奨文を発表した。
これら一連の声明発表は、フロリデーション実施を現実的な目標にしようとしている 全国の地域に力強い支援となっている。
本学会の中心課題は「公衆衛生」と「第一次予防」と考える。 フロリデーションの実践はその典型例である。   
   (本学会常任理事・日本大学教授) 
 
 
−ヘルスプロモーションとフッ化物応用法− 
長寿国日本において、う蝕と歯喪失の蔓延は残された課題です。 
フッ化物応用とシーラントや保健指導などを組み合わせれば、 世界一健康な歯の国民が実現すると確信できます。 
それらう蝕予防の方法は、国内外の数限りない調査から医学的な基盤の確立したもので、 実施しようと思えばいつでも、どこの地域でも実現可能であり、 今、皆さんの手の届くところにあります。 
ただ問われていることは、それらの方法を実行するかどうか、といえます。 
人間は家庭、学校、地域、環境のなかで助け合っていきています。 個人の健康を守る上でも、家庭における本人の努力が重要であり、 同時に歯科医院での個人的ケアーや、個人の生活背景となる学校、 地域における環境を適切に改善することが必要です。 
う蝕予防の地域保健活動にとってもこの概念(ヘルスプロモーション:WHO, 1986)が有用です。 
ヘルスプロモーションの最も良い具体例が、学校でのフッ化物洗口法や、 地域水道水のフッ化物応用(フロリデーション:天然に含まれるフッ化物濃度の調整、適正化) を実現することです。 
 










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